ケが恋しくも、過ごすはハレの日々

□双子と講義
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つい先日から夏休みも終わり、後期のガイダンスも終了して本格的に次々と講義が始まり出す忙しさ右肩上がりな週始め。
秋晴れの日の心地よさで目を覚まして、枕もとの時計を見ると現在の時刻は7:15だった。

「…嘘。」

とは言ってみたけれど、今まで信頼していた時計は私の信頼を裏切ることなく正確な時刻をちゃんと示す。
でも…それじゃあ困るんです。

今日は1時限目から必修の講義。
1時限目と言えば9:00からで、私が学校に行くまでの所要時間は1時間半かかるかかからないか。
単純計算で…既に出ていなきゃいけない時間が7:30。

それで今は?

「7:20!!??」
「柚々子〜、学校はいいのー?」
「よくないーーー!」

一度だって寝坊なんてしたことが無いのに…。
忘れた頃にやってきた夏休みボケに悪態をつきたいところをぐっと堪えてとりあえず手をつけたのはクローゼットの中に納めてある秋服。
素早く着てもう一度時計を見てみると7:30。

講義始め20分までは遅刻は免れるからまだまだ望みはある…はず!
着替えを済ませて駆け降りまずは洗面所。
歯磨きと顔を洗って次にリビングに駆け足、テーブルに置いてあったトーストとサラダと…

「お皿にのせないで!」
「へ?」
「こっちこっち。」

トーストにサラダを半分乗せて、焼けたばかりのスクランブルエッグを更にその上に。
簡単なサンドウィッチを作ると、サランラップで巻いて形を整えて、カバンに押し込む。
うん、ちょっぴり恥ずかしいけど電車の中でこれは食べればいいよね。

「鍵ー、自転車の鍵はー!?」
「あら?自転車パンクしてるんじゃなかったの?」
「えぇ!?…あー!」

いつものパンプスじゃなくスニーカーを履いたところで飛んできたお母さんの声に気付いて進路変更、目標はバス停。
玄関に張ってあるバスの時刻表を見てみると丁度走って着く頃に出るバスがあるってちょっとだけ一安心の後。

「行ってきまーす!」

猛スタートダッシュで玄関から飛び出した時だった。

「柚々子?」
「バージル!?」

私の名前を呼んだのは丁度車に乗ろうとしてる一時限目の講義担当のバージル。

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事情を説明する前に"乗れ"と言ってくれたから車に乗り込んで作っておいたサンドウィッチを一口。

ゆったりした気持ちでご飯を食べるととても落ち着く。
それが今勉強したことって運転中のバージルに言うと寝坊をしないことは勉強してないのかって怒られた。

「目覚ましをかけ忘れてて…。」
「かけ忘れは理由にならない。
 まったく…一度でも理由なく欠席すれば留年だと言っただろう。
 俺があの時間に出ていなかったらどうするつもりだったんだ。」
「…ごめんなさい。」

私と違って車で学校に行くバージルが通勤にかける時間はのんびりだったとしても一時間。
高速道路を飛ばすんだから当たり前と言えば当たり前だけど30分って時間の重みを改めて思い知るよね。
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