ようこそ、悪魔の悪魔による悪魔の為の悪魔的なボードゲームの世界へ

□ダイススロー 4回目
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「最初がネロで」
「二回目がオレな」
「さっきが逢夏だ」
「じゃあ、次にダイスを振るのはあたしだね。
 悪魔の作った物だから油断できないけど、ダイスを振るのってなんだかワクワクしちゃう」

逢夏から渡されたダイスをきゅっと握りしめ、「いいマスが当たりますように」と祈りながら落とすディーヴァ。


ぽとん、クルクルクル…


垂直に落ちたダイスが独楽のように回転して唐突に止まる。
ダイスを4人で覗き込むと、出た目は『2』。

軽やかに二マス動いたコマが、突然ポワンと音を立ててぬいぐるみのようにキュートな風貌になった。

吐き出した紙を逢夏が読む。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

をモちゅぉア、せんンそ〜ぉ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「おもちゃ戦争、だって」
「なんだそりゃ」

ダンテが素直な感想を言ったところで、周りの景観が高速に回転し、あっという間にリビングルームから弾き飛ばされた。



***************



気づいた時には4人別々に、ゴミ山のような場所にいた。

「ゴミ捨て場かな。
 ネロ?ディーヴァちゃん?ダンテ?」

さきに気がついた逢夏が、起き上がって3人を呼ぶ。
すると案外近いところからネロとディーヴァの声が聞こえてきた。

「逢夏、どこだ?ディーヴァは?」
「あたしだったら、こっちにいるよー、
 逢夏もネロも大丈夫なの?」

「私は大丈夫ー、ダンテはどこだろ」

「んー、わかんないー」
「ダンテはいないみたいだ」

一山越えた向こうから聞こえているようだ。
少し歩いてゴミ山を迂回すれば合流できそうだった。

「私、今からそっち行くね!
 ネロもディーヴァちゃんも私の声が聞こえた方に歩いてきてくれる?」
「ああ」
「わかったー」


と、そこで改めて、逢夏はゴミと思っていた物がゴミではないことに気がついた。

すべておもちゃである。

新品のおもちゃ、古いラジコンカー、壊れた人形。
新旧全部で構成されており、まるでおもちゃの墓場だ。

「うわ、何ここ…」

異様な風景に、気持ち悪いなあと後ずさりする逢夏。

パリン、
足元に落ちていたおもちゃの手鏡を踏んでしまったようだ。

逢夏はその欠片に写った自分の姿に、驚きと懐かしさを覚えずにはいられなかった。
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