ようこそ、悪魔の悪魔による悪魔の為の悪魔的なボードゲームの世界へ
□ダイススロー 10回目
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「くそっ」
ダンテが忌々しげに吐き捨てる。
目に光の灯っていない逢夏は、その瞳に激しい憎悪のみを宿してダンテをにらみつけている。
ネロも同じで、逢夏を抱きしめながらもダンテを睨んでいた。
その視線だけでも人が殺せそうだ。
ディーヴァは、ダンテとネロ達をおろおろしながら交互に見ては、どうしたものかと胸を痛めた。
『はァ〜ヤぁ、クゥ〜
ダィす、ふぅぅゥルゥ〜』
コマの姿に戻った悪魔が、その体をカタカタと揺らしながらダイスを振るのを急かす。
元はといえばコイツのせいで…
ダンテは悪魔をネロ達の前に突き出し、コイツがやったんだ…と白状しようと思った。
だが、今真実を伝えたところで言い訳にしか聞こえないだろう。
飲み込んでしまったが、戻せるのなら戻したい。
でも、それは無理というもの。
ダンテの中にとけたそれはすでに魔力の一部と成り果てている。
すまねぇ、逢夏…
逢夏への申し訳なさと、悪魔への憎しみを抱えたダンテはダイスをつぶれそうなくらい握りしめた。
悪魔…あとで絶対ぶんなぐる!!
今一度舌打ちをしたダンテは、カーペットに叩きつけるようにダイスを振る。
ネロと逢夏の方へと転がるダイス。
だが、2人はとても双六をやるような、そんな気分ではないのか、「勝手にしろ」とでも言いたげにダイスの確認はしなかった。
そしてそんなネロ達の近くにダンテが近寄れるはずもなく、かわりにディーヴァがダイスの目を確認した。
そのダイスは『1』。
なんだかダンテとディーヴァは1の目ばかり出している気がする。
鼻歌交じりに1つ進むコマ。
そしてダンテの真上から、コルク栓で密封された、闇のように真っ黒な小瓶が落ちてきた。
逢夏の結晶の瓶の時とは違い、上手くキャッチしたダンテ。
その中ではちゃぷんと並々満たされた液体が音を立てていた。
悪魔の声が家全体に響き渡る。
『ダぃすすローィタヤつ、そノ薬のンで死ンジャうッ。
飲ンデぇ、ぃチジィヵんぃなイニ解呪スる!!ジャなぃなィトほンとに死死死死死ぃ♪』
その意味はこのようなもの。
ダンテの持っている小瓶、その中身は仮死状態になる薬らしい。
飲んだものは、一時間仮死状態となり、残りの者は解呪方法を探して解毒をしなければならない、そんな命令だった。
それをダイスを振ったもの…つまりダンテが飲むことになるのだが…
「私、ダンテに協力できないッ!!
…そりゃディーヴァちゃんには協力するけど、でもやだッ!!
「悪いけど俺も逢夏と同じ気持ちだ。
好きにやってくれ。
ダイスくらいは振ってやるが、俺達はやらないからな」
…この状態でこんなの飲んだら解呪も解毒も間に合わないだろう。
ディーヴァだけでなんとかなるほど悪魔も優しいはずがない。
確実に、死ぬ。
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