ようこそ、悪魔の悪魔による悪魔の為の悪魔的なボードゲームの世界へ

□ダイススロー 12回目
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『ゴふぉン!!』

ひとしきり抱きしめ合ったのち、悪魔のコマが咳払いで邪魔をする。

『ソろそるぉ、ダぃス振ル!』

そう言ってコマ自らが蹴り飛ばしたダイスは狙いたがわずディーヴァの手の中へ。
どこからかナイスゴール!!という歓声が聞こえてきそうである。

ゆっくりとダンテから離れたディーヴァ。(ダンテは名残惜しそう)

「じゃあ、早速だけど振るね」

その言葉と共に逢夏の方もネロから離れ姿勢を正す。(もちろんネロも離れていく逢夏に残念そう)

「ディーヴァは運がいいからな〜」
「ああ、期待してるぜ!」
「思いっきり振っちゃってー!」
「皆あんまり期待しないでよ…緊張しちゃう」

苦笑しながら、ぽろっと小さく落としたダイス。
それはダンテの足元で止まった。

拾おうとしたダンテの手と、それを追ってきたディーヴァの手が触れ合う。

「ダンテ…」
「ディーヴァ…」
『早ク、目ウォ読ミぁげるるゥ!』

じっとみつめあう2人に、ぷんすかと頭から湯気を出しながらコマがジャンプしている。

「お熱いねーお2人さぁん♪ヒューヒュー」
「おーいそんなとこで見つめ合ったまま固まるなよー」

続いてネロと逢夏がニヤニヤしながら冷やかす。
自分達にもこんな時期があったなあと懐かしく感じる。

冷やかしに恥ずかしくなったダンテとディーヴァがともにダイスの目を読む。

「「ダイスの目は『2』」」

その言葉にズズズ、とコマが2マス進んで止まる。
だがいつまでたっても命令の紙を吐き出さない。


…シーン。


しばしの沈黙。

「あれっ?おかしいな。
 うんともすんともいわない」
「まさかてめえ…
 居眠りぶっこいてんじゃねーだろうな!」
「おーい、なんとか言えよー」
「悪魔さんやーい」

4人でコマを囲んで呼びかける。


『どッヵぁーん゛!!」


突如、コマが爆発音に似た叫び声をあげた。

「わぁ、びっくり!」
「ひゃあああ!」

鼓膜が破けそうなそれに、逢夏とディーヴァが飛び上がって驚く。
ディーヴァにいたっては、そのままコロコロと後ろに転がってしまう始末。
もちろん受け止めるダンテだった。

「おっと、大丈夫かディーヴァ」
「う、うん…」
「いきなり驚かすんじゃねーよ!」
「危ないでしょ!」

ネロと逢夏もぷんすか怒っている。
だがそれ以上にコマは、プンプンと怒りながらジャンプしていた。

『オるぇモ、ヵのジヨほチぃ!!じゅルィィ!
 リア充爆発しるゥゥゥ!!』
 めぃレー、タのシィノにぃ変ェる!!』

べろん。
その口から出てきた羊皮紙。
書かれた血文字は憎しみがこもっているのか、今までで一番おどろおどろしかった。

それをキャッチした逢夏が例によって読み上げる。
相変わらずどんな言語も対応しているとは便利な能力である。

「お互いのパートナーと、え…これって…」

読み上げる口が突如止まった。

「どうしたの。
 まさか逢夏に限って読めなくなったとか?」
「頭悪いダンテじゃあるまいし、ないない」
「おい、どういう意味だネロ」
「そのままだ。逢夏、言ってみ?」

逢夏は言いづらそうにしていたが、他ならぬネロの言葉だ。
仕方なしに続けた。

「お互いのパートナーと殺し合え…って」
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