ようこそ、悪魔の悪魔による悪魔の為の悪魔的なボードゲームの世界へ

□ダイススロー 19回目
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「みんな、ごめんね。
 …私の所為で失敗させちゃって。」

赤い結晶が入れられた小瓶をしっかりと両手で握り締めた逢夏は少し申し訳なさそうに顔を伏せる。

「気にすんなよ。
 仕方ねぇだろ。」
「そうだよ!
 だってそれは逢夏の大切なものだもん!」

しかし全く気にした素振りを見せず、笑顔のダンテとディーヴァ。
そんな二人にほっと胸を撫で下ろしたネロはそっと逢夏の肩を抱き寄せた。

「それ、また引き合いに出されると困るから俺の部屋に持ってくな?」
「うん、お願い。」

小瓶がネロの手に。
とそれと同時にネロは浮かべた涙で僅かに赤くなった目元にキスを落として、部屋へと消える。
リビングにはダンテとディーヴァと逢夏と悪魔。

悪魔は聞き耳を立ててキシシと意地悪く嗤う。
それを見、ダンテは眉間に皺を寄せた。

「おい、まさかテメェ…また結晶使って命令を失敗にするつもりじゃねぇだろうな?」
『もシヵスると、そゥかムォ!!』
「酷い…!
 悪魔さんお願い…、もうそんな事しないで?」
『ェえ〜?どゥ死ょつヵなー?』
「…ふふっ。」

ダンテの問いに本気交じりの冗談ぽい口調で答え、ディーヴァの懇願に口笛を吹いて嘯く悪魔。
が、意外にもその反応に逢夏は寛容だった。

「ネロの部屋、入れるものなら入ってみればいいよ?」
『なニィ!?
 ドぅイうぃミだ!?』
「どういう意味って、悪魔さん、…あとダンテ、ディーヴァちゃん。
 うちの家、私がいるのにネロが魔除けをしてない事になにか違和感とか感じなかった?」
「あ…あぁ、そう言えばそうだな。」
「確かにそうだよね。
 あたし達の世界だと、事務所はダンテがしてくれてたよね?」
「こっちの事務所だって、ダンテがしてたぜ?
 でもな、あれは悪魔退治の事務所と悪魔に知られてるから出来んだよ。」

いつの間にか階段側からのドアにはネロが。
のんびり歩きながら、下を指差し話し出す。

「うちはふつーの家。
 ふつーの家が魔除けの結界なんてしてたら悪魔に怪しまれる…
 というか、逢夏はここにいるって公言してるようなものだからな。」
「だから"家"には魔除けをしてないの。
 その代わり…ね?」

逢夏は隣まで来たネロの顔を見上げ、首をかしげる。

「俺の部屋だけ魔除けがしてあるんだ。
 悪魔が来た時のシェルターみたいなもんだな。
 因みに、お前みたいな弱い悪魔はノブに触れただけで消し飛ぶような強力なやつだから…………ゲームを終わらせる前に行くなよ?」
『ひィ!!?』

睨むネロに悪魔の体がぴょんと跳ねる。
それに苦笑いのディーヴァと逢夏。
ダンテに至っては"ザマーミロ"と言わんばかりの意地悪な笑顔を浮かべていた。

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さて、それでは気を取り直してダイスロールのお時間。
なのだが…。

「あれ?赤いダイスじゃないよ?」

ディーヴァが逢夏の手に握られたダイスを見、首を傾げる。

前に一度、命令失敗で終えた次のダイススローは赤いダイス。
悪魔の云う"あとずさり"をしたはずだが…。
すると悪魔は突然ディーヴァの前にボードゲームの説明書を持って飛んできて…

ビリッ!!
と激しい音を立ててそれを破いた。

「きゃぁ!?
 あ、悪魔さん?」
『ぁトずさリ、あンまりイぃぺなぅテいじなヵた!!
 だヵらぉデ、あタらしィペなルてィょうイしタ!!』

ビリビリビリ〜。
ビリビリビリ〜。
と紙吹雪でも作っているのかと思うほどに小さく破いた悪魔は説明書だったものを部屋にまき散らすとどこからともなく杖を取りだす。

そして…

『えェ〜〜ぃ!!!』

ブンッと一振り。
その途端4人は白い煙に包まれた。
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