ケが恋しくも、過ごすはハレの日々

□クラスと合宿
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金曜日に入学式。
そして翌週の月曜日は新入生ガイダンスというスケジュールのもと、私とネロは土曜の様に大学まで到着。
たぶんがやがやと賑やかなのは同じ新入生で…さーっと静かに何処かに行ってしまうのは先輩なのかな?

「人が沢山だね。」
「…あんまり行くなよ、人ごみは嫌いだ。」
「そんなこと言っててもしかたないよ?ガイダンスなんだもん。」
「ったく、連絡事項とか…張り紙だけで充分だろ。」

大体、日本の学校は学生に対して過保護すぎるとか海外トークを始めちゃうもんだから、適当にあしらいながら辿り着いたのは掲示板。
たくさんべたべたと紙が貼られたそこには、"新入生"という3文字が大きく書かれた張り紙が一枚あった。

「新入生…クラス割り当て表?」
「なんだそれ?」
「えっと…なんか研究室配属されるまで学生をクラス単位で…とか書いてあるよ。」
「…ってことは、同じ講義取っててもクラスが違えば…」
「違う場所で受けるってことになるね。」

意外にややこしいシステムに二人で頭を悩ましながらもその表の何処に自分の名前があるか探してた。
全12クラスみたいだから、きっとネロとは離れ離れだろうなー…っとか思ってたんだけど…

「え゛。」
「どした?」
「…ネロと私…同じクラスなんだけど…。」
「………どこだよ。」
「ここ。」

まず指差したのは私の名前、そしてすーっと真下に指を滑らせて止めたのは、英字で綴られたネロの名前。
どんだけの確立を引いてこうなったのか少し興味が出ながらもみていると、ぽんぽんと叩かれた私の肩。

「…なぁ、それよりも…。」
「なに?」
「これ。」

ネロが唖然としながら指したのはチューター、所謂クラスの担任的なポジションの先生の名前が書かれる筈の欄。
私とネロが当てられたクラスのそこには…。

「「嘘だ…。」」

ダンテの名前が…。
…陰謀だ。誰かの陰謀だーーー!
ってその時はそんな訳がないのにネロと一緒になって大騒ぎするしかなかった。

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目の前ではきゃっきゃっと楽しそうに雑談をする女子学生。
…うぅ、私も混ざりたいよ。
混ざりたいのに…ネロが周りからは見えない様に服の裾を握ってくるから動けない。

「ネロ、行ってきちゃダメ?」
「だめだ。」
「…なんで?」
「なんでも。」

うー…困るよ。
だってネロは良いよ、今座ってるのは講義室の出入り口から一番遠くて後ろの席でしかもネロは3人掛けの長机のそのまた一番端っこの壁際なのに
さっきからたくさん女の子たちが来るの、もちろん挨拶をしに、だよ?
でもネロはそれにあの引っ越しの挨拶の時みたいに無愛想に返して、全然会話しようとしなかった。

「話しかけてくれるんだから、仲良くすればいいでしょ?」
「………話しかけてくれる奴全員が…仲良くできる奴とは限らないだろ。」
「…ネロ?」

顔を俯かせたネロにどうしたのかと聞いたけれど、何でもないって消え入りそうな声で呟くだけ。
嘘つき、何でもない癖に。

そう言えば、スパーダさんが言ってたけど…ネロは同い年の友達をつくる機会がなかったんだっけ?
…そう言葉を思い出してよく考えてみれば、きっとネロは不安なんだと思った。
来たばかりで慣れない国で友達をつくるって、きっとすごく心細い事なのかも。

「ネロって案外ナイーヴなんだね。」
「は?」
「怒りっぽくて自己中でとにかく分かんない人だとおもっ……いったーーー!」
「誰が怒りっぽくて自己中だって?」

思いっきり、ってわけじゃないけどゴンって音がするくらい頭をグーで叩かれた。
本当に痛いけど…でも、なんかこれでさっきまでのネロに近づいたかな?
だってね、ネロが落ち込んでるのってなんか調子狂うもん。
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