ケが恋しくも、過ごすはハレの日々

□部活と昔話
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今日は1限目にある体育の為だけに学校に来る日…みたいな時間割にしちゃったから、お昼まで暇。
というわけで暇つぶしに来てみたのは、バージルとダンテの研究室。
そこにはなんかちょっぴりバタバタと忙しないダンテと優雅にコーヒーを飲みながらパソコンに向かうバージル。
忙しそうなダンテに話しかけるのは流石に躊躇いがあって、暇そうなバージルに話しかけることにした。

「…なにしてるの?」
「今走り回ってる愚弟が実験データを何処にやったのか分からなくしてしまってな。こうやって探させてる。」
「ありゃ。…ま、でもこうもぐっしゃぐしゃだとそうもなるよねー。」

見渡した部屋は紙とファイルで溢れかえっていて、お世辞にも綺麗な部屋とは言えない場所。
でも大学の研究室ってこういうもんじゃないのかな?って思うのと、ダンテならやらかしそうな事だとは思うんだけど…

「この有様は俺の所為じゃないぞ。」

ここでもない、あそこでもない。
と大量の書類や提出されたレポートの山をかきわけながらにダンテはぐったりとした声で返してきた。
じゃあ誰の所為?と答えを聞きたくて視線を合わせたのは…バージル。
あ、今すごい黒い笑みした!?

「意外…。」
「意外じゃねーよ。兄貴達ってか特にバージルはちらかすだけちらかしといて、…しかも捨て魔だからな。」
「性質が悪いね…。」
「だろ?ま、ダンテも言えたことじゃねーけど。」

言われたダンテは向けられるじとーっとしたネロの視線を鬱陶しげに手で払いながらもファイルを探し続けてるみたいなんだけど
突然大声で叫んだと思うとばさっと書類の山にダイブしてそれに目を剥いて驚いたネロがそんなダンテを大急ぎで引っ張り出すという大事に…。
あぁ、どんどん部屋が大変なことになっていく…とそれをバージルの横で見ていると
書類からネロの手を借りて這い出たダンテがバージルの方を一度だけ向いた。

「なー、バージル。またお前捨てたんじゃないのか?」
「しらん。」
「あー…、そうかい。おい、ネロ。もうちょっと付き合え。」
「…はいはい…。」

ネロもげっそりしながら一緒にダンテと実験データを探してるあたり…大切なものだったらしい。
どんなものを探しているのかと聞いてみると、そのなかなか姿を現してくれないお尋ね者は赤くて透明なクリアファイル…とのこと。
む?赤で透明なクリアファイル…?

「バージル、ちょっとごめんね。」
「ん?なんだ。」

さっきからバージルの視線の先にあったノートPCの下でちらちらと見えてた赤い色。
PCを持ちあげて引っ張り出してダンテの方に持っていってみることにした。

「ね、これ?」
「「それだ!」」
「ひっ!」

必死過ぎるよ、二人とも!
いきなり二人で詰め寄ってくるもんだからびっくりじゃん!
って文句の一つも言ってやろうかと思ったんだけど、それどころじゃない二人は鬼の形相でバージルを見ていた。
それでいつも様にバージルは気付かないふり…ってあれ?
とそこにまたPCの下に見えたのは。

「写真?」
「あ?……あー、俺とバージルが学生の頃のだな。」

お、これはこの居辛い雰囲気を改善してくれるかもしれない。と希望を託して手に取った写真は見てみると
海外の大学の卒業と言えばのあの格好をした二人と…あともう二人、エヴァさん似の女性と黒髪にオッドアイの女性が一緒に写っていた。
バージルとダンテと…それで女の人二人ってもしかして!

「彼女!?ね!どっちがどっちの彼女!!?」
「「は?」」

写真を手渡して指差すと、バージルもダンテも違うと同時に首を横に振った。

「幼馴染だ。」
「幼馴染?」
「そ、こっちの金髪はトリッシュ、黒髪はメアリ…俺達はレディって呼んでるんだが…。
 同じ専攻を取っててトリッシュとバージル、俺とレディが同じ研究室だったんだ。」

詳しく聞いてると何か残念な方向に話が終わってしまった。
あーぁ、彼女だったら面白かったのに。

それでなんかもっと面白い事がないかなって他の写真を探すことにして、ダンテの手から写真を受け取って眺めていると…
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