ケが恋しくも、過ごすはハレの日々

□雨上がりとお隣さん
2ページ/7ページ

それにしても、そっかぁケルはそんなに昔からスパーダさん家の家族なんだねぇ…ってふと唐突に思う事が一つ!

「ね?ケルがまだ子犬の時の写真とかある?」
「あ?…あー、そうだな。事あるごとに撮ってたからあるんだろうが…、どうした?」
「見せて!」
「…は?」
「見たいみたい!ケルだけじゃなくて皆の写真も!」

気になるよ!すっごく気になる!
向こうではどんな所に住んでたんだろうとか、学生の頃のバージルとダンテ、小さいネロとか!
ってダンテの自由だった方の裾を持ってぶんぶん振りまわしつつ頼みこんでいると…

「…なら、親父たちに頼め。」
「スパーダさんに?」
「引っ越しのときに今持ってるの以外何処にあるかなんて分からなくなったからな、知ってるとしたら親父たちだろ。」
「…そっか。分かった!」

じゃあ頼みに行ってみよう!
それでいっぱいいっぱい話を聞かせてもらおう!
と決意して、でもケルのお散歩にじっくり一時間を費やしたところで…

「ただいま。」
「お邪魔しまーす!」

そのままダンテの後ろにくっついてお宅訪問。
うわっ、すごい小さいけど照明がシャンデリアだ!
って、あれ…よく考えれば私…スパーダさんの家って初めてじゃない?
………よく考えなくても初めては初めてか。
てなわけで、もちろん見慣れないお家の中をきょろきょろと見回していると…

「いらっしゃい、柚々子ちゃん。」
「あ、エヴァさん!お邪魔してます!」

ふんわりと笑顔を浮かべたエヴァさんがいつの間にかすぐそこに。
びっくりしたっ!けどなんか…その笑顔で無意識に全てを帳消しにした気がする!
だってそのくらい綺麗なんだもん、本当に3児の母?しかも上は30代前半だから…いや、お年の事は止めとこう。

「あの!今日はお願いがあって…」
「お願い?…あ、そうそう!私も柚々子ちゃんにお願いがあったのよ?」
「へ?…なんでしょうか?」

ごそごそと玄関の戸だなを探っていたエヴァさんが取り出して私に手渡したのは、園芸用のハサミ。

「えっ、これ?」
「昨日ね、小森さんにお庭の紫陽花を頂く約束をしたのだけれど
 でもあの紫陽花、柚々子ちゃんが気に入ってるって聞いたから柚々子ちゃんに切って貰った方がいいかと思っていたところだったの。」

にっこり笑顔で首を傾げたエヴァさんはお花を取ってきている間にお菓子を用意しておくからって言ってくれて……お菓子!??
いるいる!お菓子いるーー!
一番綺麗な紫陽花持って来ちゃうんだから!
とか意気込みながらひとまずお宅を後にしようとすると

「あ、待って、柚々子ちゃん。」
「う?」

呼びとめられて、そしてそのエヴァさんは周りをキョロキョロ。

「ダンテはケルベロスのほうがあるのよね?」
「あー、そうだな。このままじゃ家にはいれられねーか。」
「それじゃあ、バージルを連れていってくれる?」
「へ?」

いきなりでよく訳が分かんないまま次の言葉を待っていると
"これ。"とそういってエヴァさんがまた戸棚から取り出したのは金属製のバケツ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ