ケが恋しくも、過ごすはハレの日々

□夏空とお姫サマ
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バタバタした準備の前日を経て、出発の今日。
車のトランクに私の荷物も詰めて貰ったのを確認して、向かったのはスパーダさんと話すお母さんの方。

「行ってくるね!」
「羽目をはずして迷惑かけないのよ?」
「分かってる!毎晩電話するから。」
「そうしてちょうだい。…それじゃあスパーダさん、娘をお願いします。」
「任せて下さい。」

一週間もいるんだからもちろん荷物も多いしってことで2台に分けて出発。
いつも通勤に使われてる車の方にダンテとネロと私とケルベロスで
もう片方のずっと駐車場に置きっぱなしだったのにバージルとスパーダさんとエヴァさんなんです。

「ねー、ネロ。別荘ってどこにあるの?」
「海の近く。」
「ネーロ。それじゃあ説明にもなってねぇだろ。」
「仕方ないだろ、ここらのこと全然知らないし。」

拗ねたように眉を寄せると車の後ろの広い所で大人しくしていたケルを呼んですぐさま抱きついてネロはそのまま寝ちゃう。
…あれか、ネロにとってケルは丁度いい枕か何かか。とか思いながらそれを見た後に

「ダンテ、どこに行くの?」
「こっから車で3時間ってところに海水浴場があるだろ?そこらへんだ。」
「へー、そっか。」

なら一安心。あそこなら小さい頃に遊びに行ったことがあるから…ってあれ?

「…あそこ、プライベートビーチが多いよね。」
「そうだな。」
「だよね。」
「どうした?」

『どこに行ってたの!!?お母さん、心配したんだからね!』
『ごめんなさい…。でもね、…あのねっ!』

よく憶えてないけど…私が小さかった頃にあった気がするんだよね。
ん〜、なんだろな。ま、いつか思い出すでしょう!

「ううん、なんでもない!
 そだ!今回行くところの別荘って…もしかしてプライベートビーチ付き!?、とかだったりしない?」
「する。…っていっても、そんなに大したもんじゃねぇけどな。」

あんまり期待するなってダンテは言ったけど
いやいや、待とうよ!大したことあっても大したことなくても普通そんなの持ってないよ!
やっぱり、お金で人を判断しちゃだめなんだろうけど…お隣さんってすごい人達なんだなぁ。
…ん?てことはだよ!?

「私がバージルかダンテかネロか3人の中で誰かと結婚したら玉の輿ってことだよね!
 すごい!こんな身近にそんな大きな夢が…。」
「へー、意外だな。玉の輿に憧れてるのか。」
「いや?全然。」
「お前、さっき夢っていっただろ。」
「そりゃあ、お金持ちになりたいなぁって願望はあるよ!
 でもやっぱり、自分で働いてどうにかするもんでしょ、そーいうのって。」

それに苦労もしないで手に入れたお金は身につかないって誰かが言ってたしね。
あと私、働きたいし!

なんて言ってると"お前らしい"ってダンテに笑われて
"お前らしいってどんならしいんだ"とか言い返すと"どんなだろうな?"って返されちゃった。
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