ようこそ、悪魔の悪魔による悪魔の為の悪魔的なボードゲームの世界へ

□ダイススロー 1回目
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「せつめぃしよ…?」
「説明書のことだろ?
 とりあえず、読んでみようぜ。」

説明書であるらしいその紙に書かれていたのはゲームのルールと進行の仕方だった。
書かれていたことは以下の通り。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このゲェムはダイすぉ思いっき、ふって出したメだけ、直進、ゴールゥに行くゲェムです。

ゴオルいくむァで、止またマス、メェーイレイする、ぉまいらに。

メイレェイのこと、できないヴァかなおまぃらは、ダァいスをふる。
おーもぉての目ダけ、あとぉズさリ。

※ちゅぅーい
このげームゥ、ソろーぉえのダイすぅしか、好きぃナ〜い。
失くすぅはだァメ。
このゲェーゥ、とチュ〜…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あ゛〜〜〜!
 いらいらするな!この書き方!」
「まぁまぁ…。
 とりあえず、要するにダイスを振ってゴールを目指しなさいってことでしょ?」
「んで?
 途中止まったマスで命令が出るから、それに従え。
 達成できなかったら、またダイスを振ってその分戻れってか。」
「あと、このゲームには付属している揃えで作られたダイスしか使えないから失くすなって。」

非常に読みにくい不親切な説明書をどうもありがとうございます。
おかげ様で私もネロも遊ぶ前に疲れました。
…とはいっても、好奇心はこれで満足するわけもなく。

「よしっ、やるか。」
「え?注意書き、まだあるみたいだけど…。」
「………、かすれて読めないな。
 ま、大丈夫だろ。」
「ホントかな。」
「ほんとほんと。」

軽く頷いたネロは箱の裏に書かれた34マスの内
"スたぁト"と書かれた部分にコマを置いた。
そして、ダイスを手にとって投げる…瞬間になって

かすれて読めなかったはずの続きがジワリと浮かび上がる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このゲェーゥ、とチュ〜ぅ、ャメる、ムりィ。
きゅケイ、ユるぅす。
でむぉ、ゴーぉルまでぃ、のんぅスとォップ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『このゲーム、途中で止めるのは無理。
 休憩は許す。
 でも、ゴールまでノンストップ。』

さっきまで読み解くのに苦労していた文字はこれだけはすぐに読むことが出来た。

「ネロ!まってっ…!!」
「え?」

ネロの手から転がり出たダイスは、ボードの上を一回、二回、三回…と転がり。

「「…1」」

触れてもいないコマはスタート位置から一つ進んだ青いマスまで勝手に動き
カタカタと小刻みに震えたかと思うと…ドクロの口の部分から丸まった小さな紙を吐きだした。

徐ろにその紙に手を伸ばす…けれど、私が取るよりも早く、先にネロの手が紙に触れた。

「なにって、書いてあるの…?」

1人、紙を広げ見たネロはゆっくりと私を見、少ししてようやく内容を見せてくれる。
そこには

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

てぇンし〜とはムぱぁなアクまァがゲーむゥ、さぁンか

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「「天使と半端な悪魔がゲームに参加?」」

読み上げた途端。
テーブルを挟んで向こう側、暖炉の前にドスン!と音を立てて

男女が文字通り"降"臨した。
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