白銀の想
□白銀の想 5
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そんなネロの心労を知ってか知らずか、シャワーを浴びたいというレインはダンテからシャツを受け取るなりバスルームへ。
「本当に何もしないよな?」
いないこと、聞こえないことをしっかりと確認した後、自分でも驚きのどすの利いた声で聞くネロ。
「しないって、さすがに妹だしな。」
嘯くように返したダンテは絶対に信用ならない。
何か身の危険を感じたら叫ぶように言っておこうとネロは心に誓った。
少しすると髪を乾かすのもそこそこにワンピースと化すシャツを着たレインが出てきた。
せっかく温まったのだろうにぽたぽたと髪から冷たくなり始めた雫を落としながら、挙句に小さなくしゃみをするレイン。
これでは先ほどの問題以前に風邪をひく。
それを見たネロは"こっちにこい"とソファのほうに来るよう手招きし
膝の上に座らせるとタオルを頭にかぶせ、少し乱暴に髪を乾かし始めた。
「いたいいたい…、ネロ、止めて。」
「止めてじゃない。風邪引いたらどうするんだよ…濡らしたままで出てくるな。
………ほら、終わり。」
荒っぽさへの抗議に軽く頬を膨らますレインはじぃっとネロを見上げ、膝の上から隣へと移動して座る。
「今日はネロ、ここで寝るんだよね。寒くない?…ネロこそ風邪引かない?」
「大丈夫だって、そこまで柔にはできてないからな。」
「…私もここでネロと」
「ダメだ。そんな恰好じゃ風邪ひく。
風邪引くくらいならおっさんと一緒に寝ててくれるほうがいい。」
断った所為かしょげるレインを横目に時計を見るとそろそろ寝るにはいい時間。
髪を撫でて時計を指差すと何故か不安そうに瞳を揺らしながらレインは俺を見る。
「ほら、もう寝ろ。
明日は掃除とかいろいろすることたくさんあるからレインにも手伝ってもらわないとな?」
あとおっさんに何かされたら俺を呼べ。と一言付け加えて背中を押しソファから立たせ、そのままネロは寝そべる。
「うん、おやすみなさい。」
震える声、けれど素直にそういうとなるべく気にしない様にと思っていたが
やはり際どい姿をしたレインはぱたぱたと音を立てて二階に姿を消した。
いろいろと不安要素有り余る姿に…見なければよかったと密かに後悔しながら
"明日は早い"
そう言い聞かせ必死にながらもネロは目を閉じる。