Long

□REN 03
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(なんか三橋さんて山岸荘に住んでた三橋と名前一緒なんだよなー)
よく一緒に野球して遊んだ三橋──

何年も前の話だし違うかなー
聞きたいけど聞きづらいしな

その前に三橋は確か男だったような……



昼休み購買でパンを買って戻ってくると
田島と泉、そして三橋が一緒に席を囲んで食べ始めていた

「あれ、三橋さん今日は昼一緒?」

それを聞いただけなのに何故か三橋は俯き目にはみるみる涙がたまっていく

「あー浜田が三橋泣かしたー」
「最低だな浜田」

田島と泉が浜田を責める

(これじゃあ本当にオレが泣かしたみたいじゃんか!)

三橋はというと今にも涙がこぼれ落ちそうだ。


「えっ三橋ごめん!泣かせるつもりじゃ…」

「何便乗して呼び捨てしてんだよ浜田」

「浜田がビンジョー」

「女泣かせるとか最低だな」

「サイテーだな」

「うう…」
泉と田島が交互に好き勝手言われしかも三橋が泣きそうだから何も言えない

(…田島笑ってるし)

田島はゲラゲラと楽しそうに笑って
泉は見下したような目で浜田を見ていた


そんな中三橋はぶんぶんと涙が飛んでいく勢いで首を振り

『ごめんなさい』
と特徴のある字でスケッチブックに書いた

「えっなんで謝るの!?
俺嫌じゃないしむしろ三橋さんと食べれて嬉しいよっ」
そう言ってニッコリすると
まだ涙で潤んだ目を照れたように伏せて
『ありがとう』
と書いた

「三橋こんなやつほって置いてもいいぞー」

「女泣かせるやつはサイテーだってにーちゃん言ってた」

「浜田は歩く凶器だからな。三橋、気をつけろ」

「気をつけろー」

「浜田と喋ると妊娠するぞ」

「まじか。浜田スゲー」


「しねえよバカ!泉は最近本当にひでぇよなあ〜」

「イテッ!テメー何すんだよ!」

「このっ!」



「ケンカするほど仲がいいんだなっ」

組み合っている二人を眺めながら田島が赤くなっている三橋に言うと
三橋はぶんぶん頷き田島と三橋は楽しそうに笑った


「あ、三橋の卵焼きうまそー!オレの卵焼きと交換しようぜ」
うん!と三橋は大きく頷く


「卵焼きうめー!三橋ん家卵焼き甘いんだなー」

『田島くんのもおいしい!』
組み合っている二人を見ながら
田島と三橋はそうに弁当のおかずを交換しあっていた―


「三橋さんてどこ中なの?」
泉に頭突きをくらった浜田が額を摩りながら聞いた

『三星学園です』
スラスラと三橋がスケッチブックに文字を書く

「三星?聞いたことないけどどこの学校?」

『群馬です』

「え、三橋群馬県民!?」

『中学校おじいちゃんのところに行ってたから』

「おースゲー」

「てかじいちゃんの学校なの!?」
泉がスゲーと驚いた

「その前は埼玉住んでたの?」
浜田の問いに首を縦に振る三橋

「…違うと思うけど山岸荘ってアパートに住んでたこととかある?」
「三橋ん家スンゲーデカイよ」
「なに、なんでいつの間にそんな仲いいの?」

「オレらダチだもんなー」
三橋の肩に腕を回して田島が言った

「さいですかー」

「つかデカイ家あってじーちゃんも金持ちなのにアパートに住む必要ないだろ―」
泉が田島にガンを飛ばしながら浜田に言った


『ギシギシ荘!』
すると突然三橋が興奮した様子で立ち上がり
浜田にスケッチブックを見せた


「そうそれ!ギシギシ荘!
え!マジであの三橋!?」

紙パックを潰しそうになりながら浜田が言った

「マジかー。でもよかったー
なんかずっと気になってたし
スッキリしたー!」
そういって息を吐いて笑った

『ハマちゃん懐かしい』
目に涙を浮かべて三橋が書いた

「泣くほどのことじゃないだろ」
困ったように笑いながら浜田が言った

「なに、ギシギシしてんの?」
泉が聞いた

「うん。すっごいボロアパートでさー
軋む軋む」
浜田がケラケラと笑う

「でもオレ三橋のこと男だって思ってたんだよなー」

「つかなんでデカイ家住んでんのにボロアパート住んでたん?」

三橋は一気に聞かれてキョドりながらサラサラとスケッチブックにペンを走らせた

『うちの親カケオチだから
お金なくて近所の子からのお古もらってたから男物の服結構着てたかも』


「すげー!カケオチ!」
田島の言葉に赤くなりながら三橋が頷いた

「やっぱりカケオチだったのかー!
隣近所でそうじゃないかって噂してたんだぜ」
そっかーと浜田は嬉しそうに笑った。



 

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