Long
□REN 04
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(浜田くんがハマちゃんだった…)
一緒に野球をして楽しく過ごしていたギシギシ荘
あの頃はお金がなくて近所のお母さんと仲がよかった人の子供がもう着れないからってよく服をくれたっけ
あの頃は全然男とか女とか気にしてなかった。
―懐かしい、な
コン!
金属バットの小気味よい音が響いてバットを投げ捨てバッターが走りだす
音の割に高く上がったそれはキレイなアーチを描いて空を舞う
『三橋ー!ボールそっちいったぞー!』
『う、うん!』
ボールは自分めがけて落ちてきてこのままキャッチできそうだ
『おっけおっけ!そのままキャッチできるぞー三橋、頑張れ!』
『う、ん!』
一歩、二歩と後ずさりハマちゃんからもらったグローブを上に構えて空に上がった白球を見定めようと空を仰いでいると
一瞬、太陽の眩しさに目がくらんだ
―あ、
しまった!っと思った時には地面の凹みに足をとられて
そのまま体が後ろに傾く―
衝撃に備えて目をつぶると来るであろう衝撃がこずそのまま暗闇の中を体が落ちていった
(う、ゎあぁああああ!)
…――ピピピピピピピ!!
ゴン、
(いた、い…)
痛みに重い瞼を開けると部屋が逆さに見える
ピピピピピピピ!!
(…も、うるさい…)
ベットから落ちたようで頭に鈍い痛みがあり耳障りな音で鳴り響く目覚まし時計のアラームを消そうとボケた頭で手を伸ばすとズリっと布団ごと体も落ちてしまった
ピピピピピピ
―バン、
やっとのことでアラームを消すとまた夢現になってしまう
どれくらい経ったのだろうか
―レン、遅刻するわよ
誰かが背中を触った気がしてバッと体を起こす
―?
眠気が覚めて
鳴り止んでからしばらく経っている時計の方に目を向けると時計の針がかなりヤバいところを指していた。
―なんとか予鈴には間に合った…
上がった息を少し整えて教室のドアを開ける
「あ、みっはしい♪」
ドアの前に田島がいて、次の瞬間ガシッと首に腕の重みがきた
―田島くん、オハヨウ
抱き着かれて筆談用の紙が出せないので口の形で伝える
「はよっ♪」
(なんだか今日の田島くんはご機嫌みたいだ)
「おー三橋オハヨー」
(泉くんはどちらかと言うと不機嫌…)
―泉くん、おはよう
肩に腕を回されたまま三橋が答える
ガラッ
「ふあ、あ、おはよう」
欠伸をしながら入ってきたのは浜田だ
(あ、ダメ―)
浜田を見た瞬間懐かしさに目が潤んでいく
―ハマちゃん…ハマちゃんだあ
小さいころも身長差はあったけど今は見上げるほどおっきくなってて
でも面影はハマちゃんのままで
目の前にいるのはハマちゃんなんだって思うと涙が止まらない
「え、うそ!なんで!?」
「ハマダが泣かせたー」
「女泣かせのハマ太郎だな」
「え、俺のせい!?三橋どうしたんだー!?」
しかしそこで本令のチャイムとともに先生がやってきたため
田島は三橋と自分の席に戻っていった