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□love the world
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「隆也様」
「どうした?」
夜ご飯を食べた後、三橋がいれてくれたコーヒーを飲みながら一息。
三橋がしょげた顔をして話しかけてきた
「えと…」
「コーヒーはうまいぞ」
「そうじゃなくて、えと…」
「どうした?」
「隆也様といる、と、辛いん、です!」
えい!と思いきった様子で三橋が叫んだ
「…」
「あ!違う、くて!」
泣きそうになりがら三橋が手を振り否定する
どっちだ?
「じゃ、なく、て…」
「じゃなくて?」
「胸がこう、ぎゅ、て、苦しい、んです」
ほう
「なんか、悲しい、でも、なくて、苦しいも、ちょっと違う、くて、なんか、なんか、胸が張り裂けそう、なくらい、好き」
こんどはぽっと赤くなる
「ごめんな、さい!」
今度は青くなった
「好き、なんて、さしでがましい、こと…」
「オレ、メイワク…」
また泣きそうになる
俯いてしまってつむじがこっちを向いている
「オレ、おかしい、んです。壊れてしまったんでしょう、か?」
ついに涙がこぼれてしまった
こんなとき隆也は何をする?
「感情ってやつだな、偉いな三橋。」
え?と三橋が顔をあげる
「感情はインプットするのが難しくてな、学習するようになってんだ。だからいろんな事覚えられるようになったんだな」
しばらくの間の後、そっか、そうなのか、と寂しそうに眉を八の字に下げ三橋が笑った
なんでそんな顔をするのか
いつもならもっと表情を抑えた感じで
動作もてきぱきとまでは絶対いかないが、なんかもっとはきはきしていたように思う
病気か?
でも熱は無さそうだ
この前検査したときも大丈夫だった
『この前隆也くんがね、お前の笑顔を見てると胸がポカポカするんだって、だからそんな悲しい顔するな、て』
『いつもそんなこと言わないのに、珍しかった』
『そのあとね、ちゅって』
顔を赤くして誰もいない研究室でまだ首が繋がってないオレに向かって嬉しそうに言ってたな
「胸が張り裂けそうか…」
三橋が虚ろな目でオレを見る
「オレ、お前の笑顔見てると胸がポカポカするんだぜ」
そして三橋の唇にキスをした
その後の三橋はとても変だった
赤くなってもうそろそろお休みの時間ですって急かして
さっきまでの元気のなさが嘘みたいに表情もくっきりして
次の日から前よりもっと笑顔でいることが増えた
何故かその顔を見ていると、本当に胸の辺りがポカポカするように感じた
それと同時になにか理解できない胸の苦しみに苛まれることになった