特殊系置場
□11/11の陰謀?
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部屋着に着替えた清正が再びリビングに戻ってくると、相変わらず三成はソファーに座ってテレビを眺めていたが、先程と違ったのはふわりと香った甘い匂いと、ぽりぽりという規則的な音が聞こえてきた。
「何だそれ」
「ん?」
顔を上げた三成の口には、黒く細長い棒のような物が咥えられており、清正に向けられている先には、褐色のプレッツェル生地がむき出しになっているそれには見覚えがあった。
先ほどもスーパーで見掛けた、巷でも有名なチョコレート菓子だ。
「お前にしては珍しいもん食ってるな」
「今日はこの菓子の日らしくてな。たまたま幸村に貰ったのだよ」
会話をしている間にも、点けられたテレビからはその菓子の日を大々的に宣伝するコマーシャルが流れている。確かにこの日を示唆するコマーシャルはここ数年でも何度か目にした事があったし、今日買い物の為に寄ったスーパーでも盛大にやっていたのを思い出す。
大方、企業の陰謀のように始まったもので、其処まで認知はされていなかっただろうが、最近になって努力の甲斐あってか、三成にも認知される程には有名になってきたらしい。
なんて考えを巡らせていると、再びぽりぽりと音を立てながら咥えていた棒が見る間に短くなり、三成の口の中へと消えた。
そしてそのままもう一本と箱から菓子を取り出して口へと運ぶ。
「あ、おい!」
「む?何だ」
「夕飯前なんだから、そんなに食うなよ」
只でさえ食が細く、食生活が乱れがちな三成にしっかりと栄養を摂らせるために、食事前から余計なものは食べさせないようにと清正は常々気を付けている。
一緒に暮らす前の食生活はそれはそれは酷い状態で、清正と暮らすようになってから漸く改善したと言っても過言ではない。