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□月と夜獣(サンプル)
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『月と夜獣』のサンプルになります。


サンプルにはR指定なページは載せておりません
(ちょっと妖しい雰囲気ではあるんですけ、ど;セーフですよ、ね?)

※本編には含まれておりますので、購入される場合はご注意ください※







月と夜獣〜sample〜


やはり、という思いはあった。
咎めを含んだ眼差しで睨みつけてやるが、先程の口付けで染まった目許と、潤んだ瞳とでは一向に効果を発揮しない。

「どういうつもりだ!」
「それはこっちの台詞だ。馬鹿」

怒りを顕にする三成の喚きを軽く受け流し、清正は三成の顎をゆるりと捉えて再び唇を重ねようと顔を近付けるが、寸での所で三成の手がそれを阻んだ。

大人しくなったからいいかと、片手を離したのが失敗だったと小さく舌打つ。

「答えになってない!」

相変わらず三成は喚き立てながら、再び抵抗を試みる。
そんな様子に清正は小さくため息を吐いた。
目の前の存在の諦めの悪さへの呆れなのか、それとも捕らえた獲物への、加虐心が疼いたからなのか。

清正の口を塞いだままの手に、不意にぬるりとした感触が伝わってきて、驚いた三成は思わず手を引いたが、それは見越されていたらしく、逆に手首を掴まれ、掌を舐められた。

「な、にを…!」

三成の問いには答えず、掌を這った舌はそのまま中指の先まで上り、爪先に辿り着くと、そのまま指先軽く口に含む。
驚きに為されるがままの三成を見遣る事無く、含んだ指先を態と音を立てて舐った。
その音を嫌がった三成がより強く手を引くが、許してやる清正ではない。

三成は唇を引き結んで視線を逸らした。
清正は白い手の甲に口付け、そこから小指の付け根に軽く歯を立てると、びくりと三成の肩が震えたのが伝わる。
一頻り手を弄んだ清正の唇は、三成の手から離れて手首へと移った。
持ち上げられた事により袖口が捲れ、晒された、細く白い腕は月明かりの中で一層艶かしい。

「三成」
名前を呼ばれて、三成が僅かに視線を清正へ向ける。

それに満足したように小さく笑うと、清正は露になった三成の手首をきつく吸い上げて跡を残す。

「っ…!」

見なければ良かったと三成は後悔したが、なぜか視線を再び外す事が出来ない。
三成に見せ付けながら、清正は手首に付けた跡をなぞる様に舌を這わせてから歯を立てた。

痛みは無い。
しかし痛みではない何かが、そこからじわりと三成の中を侵していく。
手首に喰らい付いたままの清正と目が合った。
口の端を歪めたその笑みに、三成は完全に居竦まる。
獣に喰われる前の獲物は、きっとこんな気分なのかもしれないという考えが頭を過った。

大人しくなった三成を見下ろした清正は、掴んだ手を離さないままに、今度は頬に口付けを落として、形のよい顎に軽く歯を立てる。
思わずびくりと仰け反った隙に、晒された三成の細く白い首筋。
待ち兼ねたようにそこに噛み付き、きつく吸い上げて手首と同じ跡を刻んでは、それを確かめる様に舌でなぞる。

その度に三成の体はびくびくと跳ね、それが余計に清正を愉しませた。




to be continue....


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