特殊系置場

□酔って膝枕をせがんできたとき
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「膝を貸してくれ」


徐に投げられた言葉の意味が分からず、目を瞬かせている間に目の前の男は返答が待てぬとばかりに膝に頭を預けて来る。

「え?あ、おい!清正!」

慌てて退けようとしたが、しっかりと預けられた体躯はちょっとやそっとの事では動かない。
しかも、膝を貸して間もなく肩が規則的に上下したのが見え、眠ってしまったのだと気付いた。

こうなれば更に動かないだろうし、今宵は先の戦での戦勝祝いの宴が催されており、いくら後方にいた自分とはいえ、特に活躍したこいつを蔑ろにするのは気が引ける。

「誰かに見られても知らんぞ」

とはいっても、そろそろ夜も更けてきて周囲には潰れた酔っ払いが死屍累々転がり始めているから誰も気づかないだろう。

まあ、気づいても翌朝にはきれいさっぱり忘れているのだろうが。

溜息をひとつ吐いて、膝の上で眠りこける頭をそっと撫でる。

短い鈍色の髪にさわりと掌を宛がい、指の間を滑らせるようにして梳く感触は心地よい。

「ん……」

僅かに身じろいだ事に思わず手を止めてしまったが、すぐに寝心地の良い場所を見つけたらしく、先程よりも重くなったのは完全に眠りを預けてきたからだろう。

「……飲み過ぎだ。馬鹿」

苦言を呈した口元が綻んだのが自分でも分かった。


 

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