特殊系置場

□11/11の陰謀?
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今日の夕飯は何にするかなと、帰り道で献立を考えながら立ち寄ったいつものスーパーで清正は食材が並ぶ棚を眺めていた。

不意に見馴れない棚が設置されているのに気付き、目を向ければそこは通路側にある菓子売り場の棚だ。
何でも今日、11月11日はその菓子の記念日らしいと記載されている。

甘いものが苦手な清正にしてみれば、そんな記念日など煩わしいだけで興味など湧く筈もなく、すぐに視線を外すと隣の列に並んでいたシチューのルウを手に取った。

「今夜はコレにするか…」

あいつも好物だしと独りごちてから、ルウをカゴへと放り込むと、残りの食材を求めてその場を離れていった。

会計を済ませてスーパーの外に出れば、早くなった日の入りで先程よりもぐんと気温が落ちている。
献立の選択は間違いじゃなかったかと僅かに白くなる息を吐き、もう一人の待つ自宅へと帰路を急いだ。

駅から少し離れた場所にあるマンションに清正と同居人でもあり恋人の三成が暮らす部屋があった。

先に大学を出た三成が暮らすマンションに清正が押し掛けた形になるのだが、それも今となってはいい思い出である。

マンションの入り口を抜けてエレベーターに向かうと、誰も乗っていなかったエレベーターは直ぐに開き、乗り込むと目指すの階のボタンを押す。

扉が閉まり、上昇を始める間に鞄にしまってある鍵を取り出す頃に、丁度エレベーターが部屋のある階に到着した。

周囲の景観との調和を考えて建てられたらしく、シンプルながらも、機能性に優れた造りのドアを先程の鍵で開ける。玄関には既に帰ってきている三成の靴があり、向こうに見えるリビングは明かりが点いていた。
「ただいま」

「お帰り」

玄関から進んだ先の、リビングに繋がるドアを開けて声を掛ければ、見ていたテレビから目を離した三成が返事をくれる。
一緒に暮らすようになって大分経つのに、こんな当たり前の事に毎回どこか胸を擽られる気がしていた。

「今夜は寒いからシチューでいいか?」

「ん」

先程買ってきたものをキッチンに片付けながら問うと、テレビに視線を向けたままの三成が頷く。

諾と言われたのを認めて、清正は着替えをする為に一度部屋へと向かった。


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