長編
□第5話『白い花弁』
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想いが通ってからは、更に三成の所へ通うのが楽しかった。
たった一日、一晩会えないだけでも、寂しいと感じてしまう自分の女々しさに清正は苦笑するが、会いに行けば、三成は笑顔で迎えてくれる。
以前に、三成が言った我儘である外の話をしている時も、今までより楽しそうに聞いているように見えた。
「外は本当に沢山楽しそうな事が在るんだな」
「まぁ、そればかりじゃないんだが」
「それでも、色々な物や動物が存在している」
話をする度に、三成は決して行く事が出来ない外の世界へ思いを馳せては無邪気に笑う。
「今じゃなくてもいい。いつか清正が見てきたものを俺も見てみたい」
「そうだな。お前と一緒に見れたらもっと楽しいだろうな」
清正の言葉に三成は目を瞠り、『恥ずかしい奴だな』と言いつつも否定はしない。
最近の三成はくるくると表情が変わる様になった。
これも出会った頃には見られなかった姿で、幸せなんだなと思う。
それが自分との繋がりのお陰なのだろうかと少し自惚れてしまう。