長編

□石田さんは大変なものを残していきました 後編
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宴の席を離れた清正は、そのまま人気の無い静かな廊下を歩いて行く。

腕の中の三成は安心しきっているのか、うつらうつらと半ば夢心地である。
慣れた道筋を通り、着いたのは三成の部屋だ。

襖を開けると、すでに整えられていた褥。
大方すぐに宴を抜け出して、先に休むつもりだったのだろう。
だが、三成のアテは見事に外れてしまった訳なのだが、結果的には功を奏したとも言える。

「着いたぞ、馬鹿」

「んー…」

布団の上に下ろすと、半ば夢の中に居る身体は素直に倒れ込んだ。
だが、眉間に皺を寄せて浅く呼吸を繰り返す所を見ると、そんなに良い気分ではないらしい。

身体も熱く、吐きだされる息が掠れている事に気付いて、清正は水を取りにその場を離れた。

途中、宴が開かれている部屋の前を通ると、数人の男たちが足早に廊下の向こうへと消える。

確かあれは、さっき三成を介抱していた奴らでは無かっただろうか。
その男達の様子に清正は少々眉を顰めると、目的を果たす為に足早に通り過ぎた。


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