お下げの呪縛

□モルガナイトの少年
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霧野蘭丸

雷門中サッカー部二年 DF
女の様な容姿をしているが歴とした男である。










































そう、"皆が知っている霧野蘭丸なら"ね……


































「霧野、お疲れ。」
「あぁお疲れ。」

それだけを言って、癖の強い髪の彼は部室を出て行った。

素っ気ない幼馴染みとの挨拶。
別に喧嘩したとかそんなんじゃない。

サッカー部のキャプテンである幼馴染み、―神童拓人―は責任感が人一倍強い。
その為、一人で抱え込んでしまい身動きが取れなくなる時があるのだ。
恐らく今が一番不安定な期間なのだろう。

二年になり、フィフスセクターの管理下に置かれているサッカーを尚も続ける俺達。
今年入って来た一年は三人。
内一人はフィフスセクターから送り込まれたシード。
内二人は純粋にサッカーを楽しみたいと言う哀れな奴ら。

…今のサッカーに"楽しい"なんて殆ど皆無なのにな

多分今神童を一番悩ませているのはシードの一年―剣城京介―ではなく、本当に真っ白で汚れを知らない真っ直ぐな少年



松風天馬だろう



ん?
そこまで判っているなら何故神童を助けてやらないのか?

必要ないからだ

ほら、治りかけの瘡蓋を無理矢理剥がしたら血が出るし、治りきっていない傷口を弄ったら黴菌が入って酷けりゃ化膿するだろ?
それと同じで、塞ぎ込んでる神童に優しい言葉をかけてやっても
それが逆にあいつを更に殻に閉じ込める事になりかねないしな。

それに俺も奴、松風天馬とはあまり接触しない方が良いと思っている。
だから敢えて皆から一歩退いて目立たない様にしてるんだ。



だって俺は―――


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