頂き物

□暗涙さんから
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―考エルトイウコト。決意スルトイウコト。―



 昼間は大概報告書書いたり、鍛錬したり、左之さんと居たり。(しかも色々怪我したり;)
そんな事しかしていない俺だが、別に暇ということではない。
 親父や、顔も知らない親戚からの文の処理も全く追いついていないぐらいだ。
 何かと動物に懐かれ、この間服を持ってかれたのも俺と遊びたいからだというのも
良く分かってるし。(町外れに色々そういう(動物の)知り合いも多い)

 そんな忙しい午後の日差しの中、吉村は俺を呼び止めた。

「少し、いいか?」

 片手には親父からのたまには帰ってこいというコトと、
安生(アンジョウ)してるかというコトが連ねてある文が。
 反対の手には長崎経由で来たなにやら不穏なmail、
お前はそうするべきではないとかなんとかが流暢に外国(トツクニ)の言葉で書いてある。
(俺は難なく読めるがこいつ(吉村)には暗号だろうな…)

 そんな中に吉村。板挟みの中の爆弾到来の予感…。
何より、この吉村の後ろめたそうな顔が俺の本能の不安を煽る。

「ん、何吉村。」

「あ、いや、そんな…大した事じゃないんだ。」

「…ん?」

今日は妙に詰まる言い方するなぁ。
 そんなことを呑気に思っているとそれはそれは重々しく口を開いた。

「話があるんだ…。」

 …一瞬唖然としてしまった。
珍しい言いにくそうな顔、いつも胸張ってるような【この子】が。
 弱々しい、ションボリとしているのに自分では気付いていないのか…。
ふっと自然と詰めていた息を吐けば、何を怯えているのか、肩を揺らす。

「…わかった大事な話なんだろ?……でもちょっと文を部屋に置いてきていい?」

「!?嗟!」

 ぱあっと明るい顔に早変わり。(相当言いにくかったんだろうなぁ…)
ホント、女の子の顔。しちゃってるの気づいてる?

 勿論、吉村と別れた後手紙を仲良くしてる雀に攫われたのは言うまでもなく…。
(親父、すまん;)


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