ひぐらしのなく頃に 長編アンソロジー
□第1章 最悪の奇跡
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前原圭一という男が、そこまで言われて黙っているわけがないことを、ここにいる部活メンバー全員が把握済みだった。
「じょ、冗談に決まってるだろ! 手加減なんてこっちから願い下げだぜッ! 明日こそは見てろよ、逆に手加減頼みたくなっても聞かねえからな」
「圭一さんごときが生意気ですのよ! そういうセリフは一度でも勝負に勝ってから言ってくださいまし」
「あはは…」
「それでこそ圭ちゃんだよ、次回はとっておきの罰ゲームにしなきゃね〜 男用サイズのメイド服借りとかなきゃね、にゃははは」
「そんなもん必要ねえッッ!! 次は絶対、俺が勝つんだからなッ」
「負け犬の遠吠えなのですよ〜」
梨花はご機嫌で笑う。
無理もない話だった。
梨花は、前の世界で圭一に運命が如何に容易く打ち破れるかということを教えてもらった。
そして、あと一歩のところで自分の死の運命を覆すことが出来そうだったのだ。
梨花の心は希望に満ち溢れていた。
――今回こそは頑張ろう
――この最高の仲間達と共に