ひぐらしのなく頃に 長編アンソロジー
□第2章 奇跡の代償
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「レナ……、何でも話聞くぜ?」
圭一は、顔色の優れないレナに問いかける。
「うん、ありがと…圭一くん」
そう言いながらも、レナは口を開こうとはしない。
一抹の不安が募る。
「やっぱり、俺じゃ頼りねぇよな…」
ましてや自分が原因かもしれないのだ。
レナが打ち明けてくれるはずがない。
しかし、圭一は思うのだ。
――レナには、幸せでいてほしい。
圭一は雛見沢に転校してきてから、本当に楽しいのだ。
仲間と共に過ごし、心から笑えるのだ。
東京に住んでいる頃は知らなかった。
東京では思いつかなかった単純すぎる遊びでも、仲間がいればこんなにも楽しくすごせる。
問題は、『なに』をするかじゃない。
大切なのは、『だれ』とするかなのだ。
だから、それを教えてくれたレナには、同じように幸せでいてほしいのだ。
レナはポツリと呟く。
「…圭一くんは頼もしいよ、すっごく。ただ、レナが弱虫なだけなの。今の幸せを、壊してしまいたくないの…」
「レナ……?」
――幸せが、壊れる?
そのときだった。
「おーい、圭ちゃーん、レナー!」
いかにも張り切っている声が聞こえてくる。
魅音だ。