ひぐらしのなく頃に 長編アンソロジー
□第4章 異変と疑心
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――翌日の学校にて。
「昨日はありがとな、梨花ちゃん。沙都子もだ」
圭一は梨花と沙都子の頭をわしわしと撫でる。
そこへレナが、不思議そうに首を傾げて彼に問う。
「…圭一くん、昨日ってなにかな? かな?」
その問いに答えたのは、圭一とレナの間に割って入ってきた魅音だ。
「おじさんは知ってるよ〜。圭ちゃんってば、昨日の夕食を梨花ちゃんにご馳走してもらったらしいよ。おじさんを差し置いてさぁ〜」
「そっ、そうなの?!」
レナはあたふたとしながら、潤んだ瞳で圭一の目を見つめる。
やましいことなど微塵もないはずなのに、彼は思わずそらしてしまう。
ううう、とレナは瞳をさらに潤ませる。
「くっくっく、私は園崎家次期当主、園崎魅音様だよ? この村のことならなんでもお見通しなのさ。さっ! 覚悟しな、圭ちゃん!」
自信満々に圭一を睨みをきかせてくる魅音だが、彼は逆に呆れる。
「お見通しって…、まったくよく言うぜ。どうせ詩音に聞いたんだろ?」
「あはははッ」
魅音はいやぁ〜、と頬を掻きながら笑っている。
笑ってごまかすつもりらしい。
「で、詩音はもう興宮に帰ったのか?」
「まあね。でさ、今日の部活はなにがいいかなぁ〜、くっくっく」
ヘラヘラしながらのんきに笑っているところを見ると、昨夜は詩音と楽しく過ごしたんだとわかる。