ひぐらしのなく頃に 長編アンソロジー
□第5章 苦渋と葛藤
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綻びがなに?
私は弱い?
私は独り?
運命は絶対?
言い切れる?
だって、神様よ?
部活メンバーよ?
信じる理由として弱い?
嘘でしょ?
――多すぎるくらいよ。
だから私は……。
「努力…、してみるわ」
「梨花……」
「わからないけど、信じないと始まらないでしょ? だって私は、信じてもらいたいから…」
羽入は梨花をじっと見ている。
同じ気持ちなのだ。
誰も悲劇を望んでいるわけじゃない。
今まで協力的ではなかった羽入だって、
いつも抗えぬ運命を悲しんでいた。
だから――信じよう。
「この世界で、みんなと笑っていられることを第一に考えてみる。最後まで、諦めない。…戦い抜くわ」
「ボクも…、ボクが望む未来を掴みとるために、頑張るのです。なにも出来ないからって、なにもしなくて良いわけじゃないのです。信じることさえ忘れていたボクとは、もうお別れしたのです…ッ!!」
梨花は羽入をじっと見つめる。
ずっと共に生きてきた、
抗えぬ運命に苦しんだ、
それをオシマイにしよう、
未来を変えて見せよう、
そう決意を強く重ね合う。
梨花は久しぶりに、心地よい眠りについた。