『principessa insanguinata』
□第7夜
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この街に来て4日。
コレまでにわかったことはまだ4つ。
@まず、ミランダの時計がイノセンス
Aミランダがその時計の適合者
Bその時計は毎晩0:00にその日の時間を巻き戻す
んで、この奇怪が起こった原因はミランダの「明日なんか来なくていい」という愚痴。
そして、私達はさんざん考えた結果、ミランダの強い絶望間にイノセンスが反応したと推測を立て……“再就職してミランダの気持ちが前向きになれば、もしかしたら奇怪が止まるかもしれない”……という結論に至ったのだ。
「どう?この仕事は」
そしてそして、今はバイトの休憩時間。
『私らのおかげで売れ行きはいいみたいだし!うまくいけば正社員にしてくれるってさ♪』
「ホント!!?」
「AKUMAもあれから音沙汰ないし……今のうちに決めたいですね」
「うん…そうね、この三日間ですでに五件もクビになってるし……」
私達が今バイトしてるのはピーテル劇場のチケット販売員。
ミランダはまだチケット販売中で、私とアレンはリナリーと雑談をしながら休憩中と言うわけだ。
「それにしても奏ちゃんとアレンくんって大道芸上手だね」
「僕の場合は小さい頃、ピエロやってたんですよ。育て親が旅芸人だったんで、食べるためにいろんな芸を叩き込まれました。エクソシストになってそれが活かせるとは思ってませんでしたけど」
「じゃあいろんな国で生活してたんだ!いいなぁ…!」
リナリーの質問にアレンが答える。
「奏はどうなんです?奏の場合は言葉巧みというか……普段とは比べ物にならないくらい愛想が良かったですよね」
『アレン君、それは嫌味かな?』
アレンの言葉に私がにこやかにそう言えば、アレンも同じくにこやかに返事を返した。
「いえ、僕にもあれだけ愛想よく話してくれたらもっと可愛いのになぁって思っただけです」
『可愛くなくて悪かったな』
「あ、違いますよ!!奏はそのままでも可愛いです!!」
「はいはい、お世辞はいいの。リナリーはいつ教団に入ったの?」
アレンの言葉を軽やかに受け流し、私がリナリーにそう聞けば、リナリーは少し間を置いてから話始めた。
「私は物心ついた頃にはもう教団にいたの。私と兄さんはね、両親をAKUMAに殺された孤児で、私がこの【黒い靴】の適合者とわかって1人教団に連れていかれたの。唯一の肉親だった兄さんと引き離されて、自由に外にも出してもらえなくて……。正直初めはあそこが牢獄のようだった」
リナリーは淡々とその事を話だし……
話を聞きながら、私の顔にはだんだんと陰が落ちてくる。
……思い出したのは姉の事。
「ちょっと奏ちゃん!そんな真剣に考えないで!今はここにいて良かったと思ってるもの!!」
『あ、いや……ちょっと自分の過去も思い出しちゃっただけだから!!気にしないで』
真剣に心配してくれたリナリーに私は微笑みかける。
するとアレンが少し言いずらそうに言葉を放った。
「あ…あの、今聞くのはおかしいかもしれませんが…、奏はどうして教団に入ったんです?」
『…………』
「あ、話したくないならいいんです、すいません」
私が黙りこくったのを見てアレンは慌てて言葉を付け足すが…
私は1つため息をつく。
『長くなるけど大丈夫?』
そう言って私は、教団に入る前の…
子供の頃の事を話始めた。
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