+薄桜鬼+

□【私の中の狂気の瞳に】
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「ちょっと嬢ちゃんよ!!ぶつかっといてそりゃぁないんじゃねェか!!?」

「……っ!離してください!!」



まただ。
月に一度は目にする、浪士共の八つ当たり。
自分に仕事がないとか、手柄が立てられないとか、そんなような下らない理由で浪士達は商人やら町人を捕まえては喧嘩を吹っ掛けているのだが……。


まったく、人の道場の前でやるのはやめて欲しいね。



一言文句でも言おうと私が道場から出ると……



『あらら…これまた随分な美人さんが捕まったもんだ』



そこには浪士二人と、その浪士に腕を掴まれている桃色の着物を纏った女性の姿。



『ちょっと!!か弱い女性相手に男が二人だなんて、卑怯だとか思わないの?』

「ぁあ?なんだ、テメェ」



私が制止の言葉を放つと、女の人は目を見開き、浪士が私に向かいガンを飛ばしてくる。



『人ん家の前でギャアギャア騒ぐなっていってんの!お前らは発情期の猫ですか、コノヤロー』



私は負けじとそれに対抗する。

すると浪士は私に近寄ってきて、私の胸ぐらを掴む。



「女だからって手ェださねぇと思ってんじゃねぇぞ!!!」

『女の胸ぐら掴むなんて、武士としてどうなのよ。それとも、貴方達には武士の誇りもないのかしら』



私がそう言って鼻で笑うと浪士は私の腕を掴み、そのまま私を路地まで引っ張っていく。



『ちょ!!!離しなさいよ!!』

「俺等に楯突く位だもんなぁ。それなりの覚悟はできてんだろ」

『……っ!!』



私は腕を引かれながらも横目で先程絡まれていた女性を見る。

浪士たちの怒りは私に向いたようで、女性は無事の様で、私はホッと息をつく。


しかし問題はこれからで…


――――どうやってコイツ等から逃げるか。


いくら私が家の道場で鍛えられているからと言って、成人男性の力に敵うわけもなく、いくら暴れてもびくともしない。




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