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□また明日を、願う今日
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御使い様が手習いの手伝いをしに私の家に来てくださるようになってしばらく経ちました。
いつも明るくて元気な御使い様がいらしてくださるようになってから、通ってくる子供たちは今までより楽しそうで、私も嬉しく思っています。

御使い様がご用事でいらっしゃれない日は、子供たちはつまらなそうで、手習いにも気が入らないようです。
そして私は
「なんでみつかいさま、今日はいらっしゃらないの?」
と子供たちから質問攻めにあうのです。





かくいう今日も、御使い様は綾姫様とのご用事あるとのことでこちらへはいらしていない。
いつもより集中力を欠いている子供たち。
騒ぐ子、隣の子に悪戯する子、走り回る子、今日はかなりひどいですね。
今日は早めに休憩時間にして一回仕切り直そうと思い、私はお茶を煎れることにしました。
いつもは御使い様が用意をしてくださるのですが、今日は私しかいません。
子供たちに自習するように告げると、台所へ向かいました。
手習いの合間に、子供たちにささやかなお菓子とお茶を出すことを決めたのも御使い様で。
その日の手習いを終えた後、御使い様と一緒に町へ行き、瀬戸物屋で子供たち用の湯呑みを沢山買ったのでした。
この「おやつ」という制度も子供たちのやる気を促進する大きな要因になったようです。
怠けがちだった子も毎日出席してくれるようになりました。

皆の湯呑みにお茶を注いでいると、一人の女の子が立っていました。
この子は皆が騒いでいてもあまり加わらない、もの静かな子です。
いつも静かに皆を見ているようなそんな子がなので、向こうで何かあったのかと思い、
「どうかしたのですか?」
と私は声をかけました。

するとその子は、何の前触れもなく。

「翠炎先生は御使い様の事が好きなんでしょう?」

と言いました。
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