夢本[弌]
□空飛べる貴方は
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空飛べる貴方、は
「………あ、」
私は見付けてしまったのだ。
何を?それは…………
「また、だ。………緑の天使さん。」
そう、緑の空飛ぶ天使さん。
私があの緑の天使さんを見付けたのは、マンションのベランダで缶ビールを飲もうとしていた時だ。
プシュ
「……ふぁ〜、いい音だなぁやっぱり。」
仕事終わりにはこれでしょ。今日は発泡酒なんかじゃ無いんだから。生だよ、生ビール。
ちょっとリッチな気分。こんなものでリッチを味わえる自分は安いもんだ。
「さぁーてと、いただきまー…………あ?」
夜空に映える真っ白なマント。……人間?
その白いマントが風でなびいた時に見えた横顔は、緑で人間とは言えない生き物。
綺麗、だ。
ただ私はその姿に魅入ってしまったのだ。少しかもしれないけど、長く感じたその時間。その緑さんは何処かへ飛んでいってしまった。
緑、の天使、さん
あれから私は夜、ベランダに出てはあの緑の天使さんを探す。見られるのは本当に少ない。今日だって2週間以上見て無い時間をうめようと、探すのに必死なのだ。
まだ、かな。……それとも、今日も駄目、かな。
夜空には星が散らばっているだけ。私が見たいのは緑の天使さんなんだけどな。星には悪いけど。
私は緑の天使さんを諦めてベランダから部屋に戻ろうとした。
「…………おい。」
「……はい?」
いきなり声を掛けられた。後ろを振り返るとそこには緑の天使さん。
「………。」
「え、あ、あの………?;」
緑の天使さんは意外に恐いお顔をしてらっしゃった。でもなぜか、全然恐いとは感じ無かった。
「……貴様、何故俺をいつも見ている。」
へ?………ああ、ってか気付かれてたんですね。
「……は、えと……。綺麗だな、と思って………。」
思った事をそのまま口に出した。すると緑の天使さんはキョトンとした顔をした。
あれ、意外な答えだったのかな。
「変な奴だな、お前は………。」
………そうなのかな。