短編集

□一番星一等星
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「ねぇ一君、今日は双子座流星群が見えるらしいよ?」


巡察から帰り、
土方さんに報告を済ませた後に
総司にそう言われた



『…それがどうした』

「つれないなぁ…。一緒にさ、見に行こうよ」

『断る』



総司と夜外に出るなど冗談ではない

この間だって…

…つい先日のことを思い出し、顔が赤くなった




その様子を見ていたのか総司が

「この間のこと思い出しちゃった?」

と企みのある顔でにやりと笑った



『ッ…うるさ、い』

「一君、すごく可愛かったよ?」

『俺はっ、可愛くない、ぞ…』

「そうやって慌てふためるところが可愛いんでしょ」

『うぅぅ…』

「この間もさ、団子口移しだけで顔真っ赤だったもんねぇ」



それはそうだろうっ!!

夜、外で暗かったから良かったものの…みみみみ、見られてたらどうなっていたものかっ



「それでさ、見に行こうよ。流星群」

『ことわ…』

「あ、拒否権とか無いからね?」



こっ…この男はっ









…なんやかんやで流星群が見える高いところに来た



「はい、一君」



声をかけられ振り返ってみると、
草の水分で濡れないようにと
手ぬぐいを置いていた



「座って?」

『あ、あぁ…ありがとう』




少しだけ微笑んでやると総司は顔を赤くした



『…どうした?』

「っ、一君…それやばいよっ」

『き、気持ち悪かったか?』



そりゃそうだよな

普段笑わない俺が、笑ったのだから



「いやそうじゃなくて…さ。……一君、綺麗だなぁって」



今度は俺が赤くなる番だった




「あ、一君」

『ッ…何、だ』

「───上、見てごらん」

『あ…』



星が、あった



「そりゃあるでしょ」



心を勝手に読むな!



「いや、喋ってるよ?」



……本当か



「うん、本当」











「次ってさ、いつ見れるのかな?」

『…分からん』

「次もこうやって一緒に見ようね。双子座流星群を、さ」

『そうだな』




次も、その次も

どうか総司とこの星が見たいと思う










一番星一等星
(ずっと、ずっと。君と一緒に)




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