シナリオセンター

□安らぎの場所
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○廃屋・全景
   海の波が打ち付けられる絶壁の上に、
   コンクリート造りの廃屋が建っている。

○同・一室
真理恵「きゃっ!」
   姫条真理恵(18)が背中をどんと押され
   て床に倒れ込む。
   部屋の入り口には平田俊彦(43)が立っ
   ている。
平田「大人しくしててくれよ。身代金が手に
 はいるまでの辛抱だ」
   倒れたまま体を震わせている真理恵。
   風の音が聞こえて顔を上げると、コン
   クリートむき出しの壁にたった一つの
   アーチ型の窓を発見する。
平田「くれぐれも、逃げだそうだなんてくだ
 らない考えは持つんじゃないぞ」
   平田が扉を閉める。鍵のかかる音が聞
   こえ、コンクリートを踏む足音が徐々
   に遠ざかっていく。真理恵は扉ののぞ
   き窓から周りに誰もいないことを確認
   して、ガラス窓に駆け寄り外を眺める。
   真っ青な空と海だけが、遠くまで延々
   と広がっている。真理恵は窓の取っ手
   を探し、窓を上に引っ張り上げ、外に
   顔を出す。
   下は絶壁になっていて、遥か下では波
   が何度も壁に打ち付けられている。左
   右は平らな壁しか見えない。
   窓を閉め、足を抱えて座り込む真理恵。
   大きくため息をついて顔を上げると、
   ガラス窓が曇っていることに気付く。
真理恵「え、なに……これ……」
   曇った窓に「こんにちわ」という文字
   が書かれていく。
   真理恵、慌てて窓を開けるが、外には
   誰もいない。窓を閉めると、「怖がら
   ないで」という文字が書かれている。
   驚いて後ずさる真理恵。
真理恵「何これ……気持ち悪い……」
   真理恵がかぶりを振って窓を背にした
   時、扉が開かれ、外から二人の男が中
   に入ってくる。
男A「こいつはべっぴんさんだなぁおい」
男B「若い女に手をださねぇなんて、男が廃
 るってもんだ」
   にじり寄ってくる男たち。
真理恵「ちょっと……近づかないでよ」
   後ずさる真理恵。手を掴もうとした男
   Aに平手打ちするが、避けられて捕ま
   ってしまう。
男A「(舌舐めづりしながら)強気な女をい
 たぶるのは、実にそそられるねぇ」
真理恵「いや、やめて、離して!」
   男Bが真理恵の服を引きちぎる。下着
   が露わになる真理恵。
真理恵「(叫ぶように)いやー!」
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