星狐・スマブラ

□無題
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乱闘を終えたウルフは疲れたため息を吐き出しながら、中庭歩く

「ったく、あの蛇野郎が。
手加減ってのが出来ねぇのかよ」

いつか仕返ししてやるぜ…と呟けば、何処からか小さな音色が聞こえた


耳を立ててすませれば、風の音色
ウルフは音を頼りに足を運んだ



スマブラ邸の中庭には1本だけ木が生えている
その木の近くに緑の服を着た小さな少年がタクトを操っていた

タクトから発生する風の音色に合わせ、小鳥達が鳴く
静かで…何処が悲し気な音だが、ウルフは無言で耳を傾けていた


演奏が終わり、小鳥達が木から去っていく
ウルフは良い音色だな、とトゥーンリンクに話しかけた

「ウルフおじさん!?
いつからいたの?」

トゥーンリンクは驚きと恥ずかしさで顔が赤くなる
そんな少年を他所にウルフは今の演奏が始まってからだ、と答えた

「どうしてここに?」

「音が聞こえたからだ」

そっか…と照れながらニコニコするトゥーンリンクの隣にドカッと座るウルフ


「なぁ…他に弾けるのか?」

「えっ?」

「無理なのか?」

「ううん、出来るよ!」

トゥーンリンクは胡座をかいているウルフの足に座り、タクトを振る
タクトの先から流れる風の音色にウルフは再び耳を傾けた











「ウルフおじさん、起きて!」

「んぁ?」

目を覚ませば、心配そうに見つめるトゥーンリンク
ウルフは軽く伸びをして、少年に問いかけた

「悪い、いつの間にか寝てたみてぇだ
今、何時だ?」

「もうすぐ晩御飯の時間だよ
皆心配するから、早く帰ろう!」


ウルフは立ち上がり、上着を片腕で抱える
パッと視線をトゥーンリンクに移せば、少年は嬉しそうに手を伸ばす

「おじさん、手繋いで帰ろ!」

「……」

無言で差し伸べられた小さな手を握るウルフ
トゥーンリンクはえへへ…と無邪気な笑みを浮かべながら、ウルフと共に中庭を後にしたのだった




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