*Shiki* 3巻

□第73話
1ページ/8ページ

 クックドゥル洞での昆虫退治は続いていた。
 順調に数を減らしていってると思いきや、虫達の勢いはとどまることを知らない。いい加減疲れてきた。

トウゴ「ハアハア……、俺さ、思ったんだけど……」

 トウゴはハルキを睨んだ。

トウゴ「お前がまったく戦ってくれないから余計に疲れるんだよね。戦えよ」

ハルキ「やだよ。虫に触りたくないし」

 それならなんでこの依頼を引き受けたのやら。

スズ「リョウコさん、なんでハルキはあんなに昆虫が嫌いなんですか?」

リョウコ「うーん……、確かあれは私達が十歳の時だったかな……」

 ――ある夏の日、私とハルキとトウゴ、あとタカシっていう男の子の四人で虫取りに出かけたの。
 その頃のハルキは虫嫌いじゃなかったんだよ。

ハルキ『タカシぃ、ほら、セミ!』

タカシ『うわっ! 近寄るなよバカ! 怖いから寄るな!』

ハルキ『あー、尺取り虫もいるよ』

タカシ『いちいち俺に見せるんじゃねーっての! 来なきゃよかったよ……』

 タカシはハルキが無理矢理連れてきたんだよ。
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ