*Shiki* 2巻
□第50話
1ページ/10ページ
世界の遥か彼方、生き物が住めそうにない地にそれはあった。
何もない極寒の荒野の中心にたたずむドーム型の建物。古びた石で出来ているその建物は、やたら大きかった。
その中に何者かがいた。
自分の背丈と同じくらいの長さの剣を持っていて、金色に輝く派手な鎧を着ている。そして肌は黒くて、耳が長かった。ハデーンだった。
もう一人、黒いロープを身に纏っているシドゥマもいた。
ハデーン「お前の手下ごときにやられるなんて、英雄の子孫は大したことなかったな」
ハデーンが皮肉っぽく言った。
シドゥマ「その子孫にやられそうになったのは、どこのどなたかしら? あ、正しくは田舎の村の村長にやられそうになったんだっけ?」
ハデーン「まさか自爆魔法を使うとは思わなかったんだ。んなことより、英雄の子孫を倒したことをヘルボス様に伝えろや」
シドゥマ「あんたに言われなくてもわかってますから」