●庭球文
□禁煙!
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メンタル・スモコロジー
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今日、二人は同時にデートを断られた。
「せつないねー…」
「………」
「かなわないよねー…」
「………」
溜め息をついて愁い顔の千石と
黙ったまま腕を組み渋面を作っている跡部。
ふたりはそれぞれの恋人と
今日を過ごす予定を立てていたのだが
「部員全員で橘さんの手料理をご馳走になる」
という、究極の横やりに串刺しされてしまったわけで。
トボトボと敗者どうし、喫茶店でなぐさめあう…
もとい、これからの傾向と対策を錬る会を
惰性によって開催中なのだった。
「あ、吸う?」
煙草を取り出した千石が過去喫煙仲間だった跡部に聞く。
跡部は手を出さずに片眉を上げて聞き返した。
「オマエやめたんじゃねーのか」
「うん。伊武クンがねー、タバコ自体はともかく
ケムイのが嫌だって言うから。数は確実減った。」
一本くわえてからカバンを漁り、
底のほうからライターを見つけだして火をつけた。
「ふーーー。」
喫茶店の天井に向って紫煙を吐く。
跡部はソレをつまらなそうに目で追った。