●庭球文

□BAD朝
1ページ/2ページ


   ×  ××  バッド・モーニング  ××  ×

×××××××××××××××××××××××××××××


目を開けたら昨日の酒が残っているのか、頭が痛い。
サイドの時計を見れば、とっくに起きていなければならない時間。

ベッドからおりた時、不意に目の覚めた原因が
携帯メールの着信音だったのだ、と気付いた。

表示された名前を見て舌打ちをする。
また千石だ。
あいつのメールなんざ、ろくでもないモノと決まっている。

最悪な朝だ。

ベッドに携帯を放り投げ、見るのは後にした。
賭けてもいい。どうせ迷惑メール程の価値もない内容だと。

部屋を出て玄関ポストに落とされた新聞を取りにゆく。
このマンションは独り住まいの3LDKだ。
掃除などは業者任せで済むが、朝の…

そうだ、朝のコーヒーは自分でいれなきゃならない。
新聞より先に、コーヒーメーカーのスイッチを入れておくべきだった。

また舌打ち。
歩くと頭に響くのは、やはり酒のせいにちがいない。
忙しいのを理由に、食事を摂らずにいたせいか胃も痛む。

コーヒーメーカーのスイッチをようやく入れて、
制酸剤を探した。

不快な朝だ。

時計を見れば、その針の示す時刻に余計頭痛がした。
今日は遅刻して行こう。

遅刻しようと欠席しようと、素行も成績も優秀な自分に特に問題は
…いや、
…監督に朝渡すと言ったメニューデータがあった。

ならばもう制服に着替えなけりゃならない。
いまいち働きのニブイ寝起きの頭に舌打ちする。
目が覚めて間もないのに、すでに何度舌打ちしたか。

ろくでもない朝だ。

ネクタイをひっかけ、コーヒーメーカーからマグカップに
香り高い液体を注ぐ。
手には制酸剤が一包。
口内に顆粒を含み、コーヒーで胃に流し込んだ。

せっかくのコーヒーが舌にまずい。

良い事など何もない朝。

鞄を手にして、ベッドに放り投げた携帯を思い出す。
不愉快だが、千石のメールを確認したら、案の定不愉快な迷惑メール。
あの阿呆面がここにあれば殴る。

いいかげん、むなしく響く舌打ちは堪えて、鞄に携帯を放り込もうとした。
そこでまた着信。

しかし、この着信音は




>神尾
------------------
件名:オハヨー!
本文:跡部〜♪
  今日は部活休みだぜ!
  放課後にそっち行くからな♪
------------------



確認して頬が緩むのを感じた。
携帯を片手で操りながら、急ぎ玄関に向う。


それが今日、起きて初めての喜ばしい事象だったので

全てが腹立たしいと思えた朝が終わった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ