●庭球文

□ピロートーク
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   ピ ロ ー ト ー ク  ラ ラ バ イ
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乱れて波打つシーツの上で、白い素肌をさらしたまま
ぐったりとしている伊武。

上機嫌でその髪を撫でている千石は、汗を拭かれ
冷たくなる肌に気付いて、軽い掛布を自分と彼の上にのせた。

「ん…あぁ」
「伊武クン、平気?」
千石が満足してしばらくたった今、ようやく意識が戻ったようだ。
気付かれたついでに、頭を抱き寄せ自分の二の腕に置く。
これでピタリと身を寄せ合うカップルの図、出来上がり。

事後の余韻のせいで、まだボーッとしている伊武はされるがままで、
気を良くした千石の鼻の下は殊更伸びた。
「ね、伊武クン、平気?」
薄く目を明け、至近距離にある締まりのない笑顔を睨んだ恋人は、
「…いちいち聞くな」
ボソリと不機嫌に言い返したけれど、腕枕を嫌がる素振りもなく、
特別怒っているわけでもなさそうで。

「うん、でも二日連続だったから辛くない?」
気遣うようなその言葉に、「ふつかれんぞく…」と繰り返した形の良い唇から
漏れ出したのは、一本調子の彼の癖ともいえるつぶやきだった。

「…それですよ…そもそも今日はこんなつもりじゃなかったのに…
昨日したのにまたするとは思ってなかった…あーあ…
まさか今日もだなんてさ…いくら連休っていっても…いつもは
週末とかだったから…二日つづけてなんて思ってもなかった…」

予定外だった、とぶつぶつ抑揚なく言うのを千石は遮った。
「ウーン、…けどね、千石さんは毎日だってしたいんです!
でもでも、伊武クンの身体に負担かかるので〜…
…シテもいーかどーか今回すんごく悩んだんだけどネ☆」

頬ずりせんばかりに顔を近付けて言うと、少しふて腐れたように
「結局したじゃないですか」
という抗議。それすら可愛いと思って千石はだらしない笑顔になる。

「だってぇv伊武クンが言ったんじゃない☆「昨日の疲れなんて残ってないです」って」
「それはっ…千石さんがしつこく平気かって聞くから…」

そうだ、いつもこれだ、と伊武は思った。

調子に乗せて、喜ぶ姿を見て。

自分に一喜一憂する姿に悪い気はしなくて。
けれどそうしたら、すぐにこの男は調子に乗り過ぎてしまって。

結果、こちらは呆れたり、うんざりしたり、
ひどく恥ずかしい思いをしたり。

でも…そんなコト、性懲りも無く繰り返すのって…

それってつまり、自分も調子に乗っちゃってるってコト?
ああイヤだ。

カクンと頭を枕に臥せる伊武を、千石は覗き込んだ。
「え!やっぱりダルイ?熱とかないよね?ちゃんとつけてヤったし、どっか具合が、」
「っ、なんともないですっ」
「ホント?」

----どこまでが本当で嘘か悟らせない
この世慣れたスタイルのオレンジ頭に翻弄されるのは

「一応、部活で鍛えてますから。そんなヤワじゃありません。
だから……事後にごちゃごちゃ言わないで下さい」
「そっかぁ!ヨカッタ〜☆んじゃ第二ラウンド行ける?」

「は?」

----滅茶苦茶、癪に触る。


-----〈おわり〉----------------------

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