●パラ話

□*うちの領地の。
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ファンタジーっぽいようなそんなかんじテニパラ
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不動峰の領地は、決して豊かとは言えない。
領土の殆どを占める痩せた土地、続く不毛の岩山や渓谷…

しかし、近年は一概にそうとは言えなくなってきた。
領主が交替し数年。民は絶大な期待と信頼を彼に寄せている。

新領主の名は、橘桔平。

不動峰は、彼の偉業により、確実に活力を取り戻しつつある。

しかし、領土が潤えば、近隣の領主が不動峰領に興味を示して来るのもまた、避けられない現実。


橘桔平には、6人の側近がいる。
市井、あるいはもとよりいた官吏で、才能を埋もれさせていた者たち。橘により能力を見い出された彼らは橘に忠誠を誓い、橘と領土の為に奮闘してきた『気のおけない仲間』であった。


側近のひとり、伊武深司。
彼は若いながらも相手の自由を奪う魔導術に秀でた術師。

側近のひとり、神尾アキラ。
彼は元シーフで、その俊足を活かし、強欲な貴族から金品を掏り取り旅をしていた少年。

能力的にも容姿的にも、側近の中で目立つ深司と神尾は、性格はまるで反対だったが、周りも不思議がるくらいに仲が良い。

今日も、2人は必要もないのに、連れ立って街へ視察に赴いた。

「深司〜見ろよ、賑やかになったよなぁ」
「ボソボソ…橘さんのおかげだよ…こいつらもっと橘さんに感謝すべきだよね…」
「深司深司!あれ食いたい!」
「神尾好きだね…法蓮草パティ…」

しばらく歩くと前方で、なにやら騒ぎが起こっている様子。
2人は顔を見合わせて、人だかりに近づいていくと、どうやら喧嘩らしい。深司は興味なさそうに「行こう」と神尾の服のスソを引いたが、喧嘩見物の好きな神尾はすでに野次馬に混ざって「リズムー!」と、はやし立てていた。
仕方なく、深司も騒ぎの中心を見やった。

何処にでもいそうなガラの悪い連中(橘が領主になって随分減ったのだが)に、1人の若者が絡まれていた。
しかし、そいつは飄々として動じたふうがない。

――相当の使い手

そう判断したため、神尾も助けには入らず傍観を決め込んでいるのだろう。
その若者は、仕立ての良い異国の服を来ている。
橘ほどではないにしろ、2人より少し背が高く、派手なみかん色の髪が目立つ。
端正な顔をしているが、しまりのない笑顔が減点対象、といった感じだった。
腰にさした由緒ありそうな剣を抜くこともせずに、ごろつき相手に一歩も引くことなくひょいひょいと、稚拙な太刀筋をかわしている。
その挑発ともとれる態度に、
男たちは頭に血が昇ってしまった様子。無闇に刃物を振り回すのを見兼ね、
神尾がとうとう割って入った。
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