泣き笑い道化師

□彼の名前はエアークラッシャー
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「騙された。」
「いきなりなんだ。」
「道端で可愛い女の子三人衆を見つけてナンパしようと喫茶店まで追いかけてたら高倉が居て、そんであれ全部高倉の女だったなんて…」
「もう切れてるがな。」
「切れてようがなんだろうが関係ない!高倉の女だった、その事実が何よりも俺にはショックなんだぁあああ!
これで何度、俺がいいと思った女すべてお前に既にツバつけられてて絶望したよ、俺っ。
何度お前と、俺好みの女が痴話喧嘩繰り広げてるのみて悔しがったよ、俺っ。
何度こんな思いをして愚痴を零しゃ気が済むんだよ俺ぇぇぇ〜ぇえー……」
「あー、よしよし。泣くな泣くな。面倒臭いから。」
「くそうっ、そうやってお前はいつも俺を馬鹿にしやが、

あ、でも待てよ。今から追いかけていって『やあ、お譲さん。彼と何かあったのかい?僕でよければ話に乗るぜ?』とか言って運命的な出会いを作り上げるのもいいかも…ああっ、でももう消えてるよ!女子三人の消失だよ!」

「一人ノリ突っ込みが激しいなお前は。とりあえず座れ陽介。
そして少し声のボリュームを下げろ迷惑だ。」
「なにをうっ。悪いけどこのでかさは自前だ!
常にテンション低いお前と違って声がはっきりと聞こえやすくていいだろ?
どうだ参ったか!」
「…ああ、参った。参ったからちょっと黙れと言ってるだろう…、がッ。」
「ブッ、いっでえ!?ちょ…灰皿で殴るとか酷くね?!これが金物だったら殺人事件!」
「いやお前なら殺しても死ななそうだから大丈夫だ。
それに殴った衝撃でよろけて椅子に座ったんだから俺は結果オーライ。」
「なにが結果オーライだよ、んだよもーっ、高倉の鬼っ。この女垂らしっ。女心を弄んで…最低よっ。」
「無理して女声出すな、キモいんだよ。」
「まあっ、高倉くんったら…そう言ってアタシのこと好きなくせに…うお、冗談冗談睨むなよー。
やだなー、高倉ってば冗談通じねえんだから。」
「通じるが、お前の言い方は妙に腹立たしいんだよ。耳障りだ。」
「あ、俺もドリンク頼んでいい?全力疾走してきたから喉渇いちゃってさー」
「…ああもう好きにしろ。」
「ついでに騒いだら腹減った!俺、おごるからなんか食おうぜ!あ、高倉もう食った?」
「それより陽介、携帯鳴ってる。」
「ん、え。マジで?気付かんかった…。ちょいまち!メールみたい。」
「…友達か?」
「んにゃ、クラスメイト。んーっとぉ……カラオケ行くかーだって…高倉行く?」
「いや、俺は…。大体お前に対する誘いだろそれ。」
「あー、そーね。んじゃーいいや。パスしとっか。
高倉、メール打ってる間先食うもん探しといてーっ。」

「…陽介」
「んー……あ、おう。なに?なんか呼んだ?」
「…行けばいいだろ、俺が居なくても。」
「えー、なんでー。…こ、ん…あ、行き過ぎた。」
「フツー偶然逢った俺と居るよりも、友達と遊んだ方が楽しいだろうが。」
「こ、ん…ど…ど…と、てんてん…あ?なに?楽しい?なにが??」
「………お前、俺と居てつまらなくないのか?」
「なんで?ねーよ別に。高倉と一緒の方がなんかあきねーし、おもしれーし。」
「…別に、良い事なんてないだろ、俺と居ても。」
「良い事ばっかねーかもしんねーけど、友達と居てつまらねーこともねーだろ普通。」
「…。」
「ん?なんだよ、どしたー。」

「そうか。」
「ん?」
「友達か。」
「おー。おし終わった!あ、ポテト頼みたいポテト。」
「俺とお前は友達か。」
「なによ、今更ー。そんで高倉なに食う?
俺ハンバーグ定食とか食いたい…あ、ナポリタンでもOK!」
「…ナポリタンならうちの弟や妹の方がうまいぞ。」
「え、マジで?なにそれ、初耳!食いたい食いたい!!俺、ナポリ好きなんだよー!」

◆こいつウゼえ。けどなんかホッとする

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