イリュージョニストはペテンの夢をみるか?
□3.仁王雅治
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私は放課後柳生くんの部活が終わるのを待っていた。
ジェントルマンな彼は待たなくてもいいと言ってくれたけど、わたしが待ちたいのだ。
もっと彼を知りたいから、一緒にいる時間は積極的に作りたい。
もうそろそろ終わるかなというところで教室からテニスコートの近くのベンチに移動した。
ベンチに座っていたら、もう着替え終わった様子の仁王くんが隣に座ってきた。
「よぉ。柳生待ちか?見せつけてくれるのぉ。」
ニヤリと笑う彼の口調を真似して、ラブラブじゃろ?なんて言ってみたら驚いた表情を見せる彼。
「ほぉ。鞍田も言うようになったの。」
「冗談だけどね。」
ははっと笑いながら他愛もない話をする。
どうやら柳生くんが来るのを一緒に待ってくれるようだった。
会話が切れたのでふと横を見てみると小さく緑が見えた。
「あ。クローバーだ。」
クローバー。わたしと仁王くんが出会ったきっかけはその植物だ。
「クローバーか、懐かしいぜよ。 どうじゃ、四つ葉でも探すか?」
「うん!」
こうして四つ葉探しの小さな大会が2人で開かれた。