そのほか

□暖かい雪の日
1ページ/1ページ

雪もとかしてしまいそうなほど



「…暇だなー」
小さな呟きだったが、誰もいない公園には呟きを掻き消す音も無く、不思議と響き渡った。
キィィー…
座っているブランコが悲鳴のようにないた。
本日は土曜日。
獄寺は暇でしょうがなかった。
いつもなら、綱吉の家に行っているところだが、今日はリボーンに一日中ずっと勉強をさせられている、という事らしい。今日は来ては行けないとリボーンに釘をさされてしまっているので、手伝いに行くこともできず、公園で暇を潰している、のが今の状況である。
「さみぃーな」
雪も降っていて寒さも増してきた
何かすることはないものか―…
と、試行錯誤している獄寺に
「おっス、獄寺。何やってんだ?」
声を掛けた人物がいた

「…山本かよ。てめぇこそ何やってんだよ」
「俺か?俺は今から学校行くトコだぜ?」
「は?学校?」
「おう」
「…今日は学校も部活もねーだろうが」
「えっ?」
―明日は学校も部活もないからなー間違えて学校くるんじゃないぞ―
そう、昨日担任の教師がいっていたのを思い出す。
「え、部活ねぇの?」
「昨日、センコーが言ってただろーが」
恐らく、山本は学校は休みだと分かっていたが、部活があると思っていたのだろう。
うーん…と山本はかんがえると、
「じゃあさ、獄寺も学校行こーぜ」
「はぁ?」
「いーからいーから」
半ば押し切られた気がしたが、暇だったので、付いていく事にした



「…で?学校来て何がしたかったんだ?」
「今日はさ、雪、降ってんだろ?」
「まーな」
「だから、雪で遊ぼーぜ?」
「ガキかてめーは」
「いいじゃねーか、前も皆で遊んだんだしさ」
山本は、寒さに負けないほどの暖かな笑顔で笑った
「…しゃーねぇーな」
「よっしゃ!」

そして、並盛中学校に楽しそうな声が響いた

雪もとかしてしまいそうなほどのぬくもり

寒くも暖かいとある雪の日のはなし

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ