そのほか

□きせきの世界
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※マミっち様へ



きせきの、はじまり


“奇跡の世界”


両思いって奇跡だと思う
だって、地球上の何億って人々がいるのに、お互いを好きになる
確率にしたらすごい数字
そう、俺は思うんだ



「…な、…つな!」
俺の名前を呼ぶ声に、目を覚ました
頭はボンヤリとしていたけれど、直ぐに誰が呼んでいたのか分かった
「山本、どうしたの?」
「どうしたの、じゃねぇよツナ。すげぇ音がしたから来たら、ツナはここでねてるし」
あぁ、成る程、と思う
山本の言う“すげぇ音”とは、修業の最中に起こった音で
寝ていた理由はおもいっきりボコボコにされて気絶していたからだ
…その原因を作った張本人はここにはいないようだが
「うん、ちょっと修業でさ…」
「はは、雲雀は遠慮ないからなー」
笑っている山本にも、所々に修業でついた怪我がある
「山本の方は修業は?」
「うーん…小僧が休憩してこいって」
「リボーンが?…じゃあ、医療室行かない?」
「ツナも傷だらけだもんなー」
「あはは」
笑いながら立ち上がり、医療室へ二人で足を運んだ

「…誰もいないね」
「包帯どこかな?」
しーん…、と静まり返った医療室でガサガサと、探す
「お、あった」
「見つかった?」
「あぁ、あったぜ」

取りあえず、医療ベットに座る
どうやら、山本が処置してくれるようなので、黙って治療を受ける
消毒がしみて、少し顔をしかめたけれど

「…山本、」
「どした?」
俺の声に治療をしながら、笑顔で顔をあげる

それは、やっぱり

この時代の山本の笑顔とは違っていた
笑顔は絶やさなかったのだけれど、

(違う、)

「…山本、」
もう一度、名前を呼ぶ
「どうしたんだよ、ツナ」やっぱり、笑顔

(何故かな、そうじゃあ、ないんだ)

あんな、表情、してほしくなんか無かった
それは、多分、この時代の俺も同じ
でも、原因は、多分、俺だ
俺がそうさせてしまった

俺と山本の物語は、
俺達が一緒に屋上から飛んだ日に始まって
俺が居なくなった日に終わってしまったんだ

この時代の山本に何にも言えなかった俺は、縋った、可能性に
きっと、終わってなんかいない
今でも、信じている

「山本、両思いって奇跡だよね」
「確かにな」
突然な話を振られたにもかかわらず、山本は笑顔で答えた
「だからさ、俺達って奇跡で結ばれてるんだよ」
そう言った瞬間に山本は耳まで赤くしていた
「そ、そうだな」
「出会えたことも奇跡だよね」
「あぁ、でもさ、そうだったら世界中が奇跡で一杯だよな!」
「え?」
「だって、人と人が出会えたことが奇跡なんだし」
よし!出来た!といって山本は立ち上がった
「…そうだね」

だったら、ここは、“奇跡の世界”だよ

「よし、山本。今度は俺が治療するよ」
「え、あ、サンキュー」

だったら、俺は
終わらせない為に
繋いでいく為に

奇跡で紡がれた物語を
進んでいこう

君と一緒に

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