そのほか

□happening lunch time
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※チョコ様へ


“happening lunch time”

日差しは春のような暖かさだが、風は冬のように冷たい。そんな気候の中、並盛中学校の屋上には二人の人物。
沢田綱吉とその(自称)右腕、獄寺隼人。

「山本、遅いなぁ」
と、綱吉は呟いた。
学校生活の中で貴重な休み時間であるこの昼休みを利用して、昼食をとろうと三人で来たが、どうやら弁当を教室に置いて来たらしく、先に食べていてほしい、と告げて教室に戻ってしまった。
とりあえず、獄寺と先に談笑しながら、昼食を食べていた。

そこへ、
「悪ぃ、お待たせ!」
急いだのだろう、息を切らせて山本がそこに立っていた。
「待ってねぇよ」
「あはは…」
相変わらずの獄寺の悪態を苦笑で流し、こちらへ招こうとした時、

(!?)
気付いた。

「彼等がいるなんて聞いてないよ」
「ひっひば…」
――雲雀恭弥
(いや、有り得ないよ!)

「屋上に行くとき雲雀を見かけてさ、そんで誘ったら」

“雲雀ー、一緒に飯食わね?”
“いいよ”

「って」
(即答かよ!)
と、心の中でツッコミを続ける綱吉の心情も知らず、獄寺がつかみ掛かるように声を荒げながら、
「てめぇ!誰でも誘ってんじゃねーよ!」
と、山本に言った。
(いや、そっちー!?)
「えー」
「えー、じゃねぇよ!大体…」
「ねぇ、君達何時までここにいるつもり?僕はこれから山本武と昼食をとるんだけど」
「「はぁ!?」」
綱吉と獄寺は同時に声を上げた。

綱吉は、しまった、と慌てて口を片手で塞いだが、獄寺はやめなかった。

段々と、獄寺と雲雀の口論になっていき、二人を止める事も出来ずにどうしようかと、思案していた綱吉だった。
「…山本」
「うん?」
それまで「仲良いなー」と二人を見ていた山本に、綱吉は声を掛けた。
「もう、俺達だけで別の場所に…」
行こうよ、と言おうとしたが、

「クフフ…抜け駆けですか?沢田綱吉」

という何処からか聞こえた声に遮られた。
その声に口論を続けていた二人も、綱吉も、山本も動きを止め、(山本以外の)全員が、顔をしかめた。

「お久しぶりですね」
「僕の並中に何勝手に入って来てるの?」
と雲雀が敵意を剥き出しにして声の主に尋ねた。
「クフフ。君に用事がある訳ではありませんよ、雲雀恭弥」
その言葉と共に、急に山本の目の前に骸が現れた。
「わっ!?」
驚いた山本の両手を握り、
「武。僕と昼食、いかがですか?」
「へ?」
問われた台詞に唖然となった。

「えーっと…」
困惑している山本と、返事を待っている骸を交互に見遣り、綱吉はどうしようか悩んでいた。

そこへ、雲雀がトンファーで殴り掛かって来たが、骸は平然とした顔で避け、
「クフフ…。仕方ありませんね。時間も無いようですし、今日はこれで、終わりにしましょう」
「逃げられると思ってんの?」
去ろうとする骸を追いかけようと雲雀も走って去ってしまった。


「………」
あまりの事に呆然となっていた綱吉達が、ハッとしたのは、昼休みが終了したことを告げるチャイムの音だった。

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