さんにんのゆくえ

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ぞぞぞぞぞーっとそばをすする中、鶴斗がオムライスをモグモグしながらなにか書類を読んでいる。つーかざるそばうめぇ。


「何読んでんだ?」
「あ、ごめんこれお前についての調査報告書だから極秘なんだ」
「極秘のくせに俺に教えるなそして俺についての調査報告書なら俺から見えないところで読むもんだフツー」


へらへらとしながら調査報告書を読む鶴斗に目潰しを食らわせた後、最後の麺の一塊を食い、俺は蕎麦湯を啜った。うん、流石だ、蕎麦湯もうまい。
鶴斗がオムライスを完食するまで暫く時間があるので、持ってきていたmyパソを立ち上げる。なんでここまで持ってきてんだとかいうツッコミは無しの方向で。メールがきているので誰だと思ったら、俺の敬愛する腐レンドの『うみ汰』だった。思わずニヤリ、と笑う。

『うみ汰』は俺が腐男子になるきっかけを作ったサイト『空の向こう』の管理人だ。しかも俺と同い年で、なおかつ男…つまり、腐男子である。最初知った時はビックリしたが、同じ男だと分かると親近感がわき、とうとうメールしたのは懐かしい思い出だ。
それからと言うもの、俺は『うみ汰』とのメールを交わし、今では親友ともいえるほどの仲になった。

そんな『うみ汰』からのメールだ。ニヤリとするくらい当たり前なのに、鶴斗が俺の方を見て眉をひそめた。彼のオムライスはもうすぐなくなりそうだ。


「(んー…?『今どこ?』か…。えーと、『今皇冥学園ってとこの食堂です』…っと。そーしん!)」


しばらくすると、メールが返ってきた。
なになに、『マジ?!俺も今皇冥学園にいる!俺ここの生徒なんだ!今から行くよ!』だって?!なんだと…『うみ汰』この学園の生徒なのか?!今から行く、という言葉には胸が躍る。俺と彼は直接会ったことがないものだから、いつか会おういつか会おうと言っていたものの、それが叶うことは未だないのだ。超絶会いたい。


「(『待ってまーす。違う制服だし今目の前で生徒会書記がオムライス食べてるからすぐ見つかるはずだよ』…ほい、送信!)」


パソコンを一旦落として、残りの蕎麦湯を啜る。あー…ここの学食最っっっ高。

ぼーっとしながら鶴斗がオムライスを食べる姿を眺めていると、また食堂がざわつき始めた。今度はなんだ。アレか、次もイケメンが入ってくんのか。そう思っていたらどうやらその推測は正解だったらしく、向こうからキャーキャーと声がする。


「…なー鶴斗、入り口そこだけじゃねーの?」
「あー、そりゃ一つな訳ねぇな。考えてもみろよ、こんなマンモス校だぜ?人数もべらぼうに多いんだ。入り口が一つだけだったら入るときに大渋滞起こすだろうよ」
「あー…なーほどね…鶴斗、米が口元に付いてるよ」
「モモが取っ」
「だが断る」
「…せめて最後まで言わせてもらいませんか?!モモさん!!」


がっかりとしている鶴斗を無視して騒ぎの中心の方に目を向ける。…クソ、やはりイケメンじゃねーか…!
焦げ茶色の髪の毛をカラフルなピンで止め、つり目気味の緑の瞳を鋭くさせながら肩で風を切って歩くその姿はまさに男!という感じである。近付いてきたからよく分かる。




…ん?なんでこっちに来てるんだあのイケメン。



11,03,22





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