さんにんのゆくえ

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寝不足だ。俺も、竜騎も。
理由は簡単で、ワクワクして眠れなかったのだ。よくある遠足前のなかなか眠れない園児のパターンである。
ほぼ徹夜で竜騎と王道学園ものの小説を読み漁り、それでもなおたぎる気持ちを抑えられずに二人で王道学園ものの小説の設定まで組んでしまったくらいだ。ちなみにこれは竜騎のサイトに俺との共同制作ってことで近々公開する予定である…って、これはそんなに関係ないな。
まあ、とにかく。


「とうとう今日ですよ竜騎さん」
「ヤベェよテンションMAXだよ、どうすりゃいいよこの感じ」
「絶対今日は食堂行こうな!そんでそんで、ガン見しような!」
「だな、ガン見決定だな」
「…あ、でも竜騎目つき悪ィから睨まれてるとか勘違いされたりして…」
「大丈夫だ、問題ない。こっそりチラッとガン見する」
「いやいやいや、それ矛盾してね?」


むちゃくちゃはしゃぎながらEクラスの教室に入る。他の教室より建て付けの悪いドアを開けると、妙に汚い教室と、ぐちゃぐちゃの机が目に入る。


「はざーっす、海原さん!」
「今日も遅刻者は0みたいッス海原さん」
「よし、今日も気合いいれて勉強しようぜ!」
『ウッス!!!』


…ちなみに。
うちのEクラスは不良押し込めクラスであり、本来は勉強なんか真面目に受けるかよヒャッハァア!…な、やつがいっぱいな筈なのだが、今の会話を振り返ってみると分かる通り真面目なのだ。
これは竜騎の方針らしい。Eクラスのヘッドになった中学一年のころ決めて、破った人間は今のところいない。

・真面目に授業を受ける
・遅刻厳禁
・不良だからといって勉強をしなくてもいいという訳では無い

この三つを、Eクラスは目標に掲げている。
最初はいやいや受けていた奴らも、時が経つにつれて勉強が楽しくなっていったそうだ。勉強を教えてもらった時、クラスのみんなから聞いた。


「はよ、不破」
「あ、おはよー九道(くどう)」


今声をかけてきたのは竜騎の次に仲がいい不良の九道津美貴(くどうつみき)。見た目は綺麗系チワワっぽいが、このクラスのNo.2であり、頼りになるアニキ的存在である。ちなみに声も渋め。見た目と中身のギャップがかなり激しい。


「今日昼飯食堂行かねぇ?」
「あー…たりィし、俺が言うのもなんだがよ、ほら…チワワ共がうるせェから…」
「そっか…」
「はは、そんな落ち込むんじゃねェよ、不破。明日は一緒にメシ食おうな」
「うん」


俺は鞄を机に置いた。






さて。とうとう楽しい楽しいお昼休みである。
これで食堂行って転入生居なかったらどうするよ、と竜騎と話したが、どうやらそんな心配はいらなかったようだ。


「なあなあ、お前名前は?!オレ、柿本愛斗(かきもとあいと)!愛斗って呼べよな!!!」


…あれー、おっかしいなあ。王道くんと接触する予定は無かったのに。



11,05,14





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