さんにんのゆくえ

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リビングに入ってきた会計サマと鶴斗。ちょうど竜騎と暇なのでチャラ男会計×無口書記についての熱い議論を交わしていたので、一瞬だけ口を噤んだ。


「…で、結局なんで会計が来てんだよ」
「伊原チャンに用があってさ〜(まさかの不良攻めか…?)」
「…ッハ、そうかよ(ヤバい伊原受けフラグキター)」
「で、鶴斗…、これどんな状況?(とりあえずまとめると鶴斗受けフラグ乱立ですね分かります)」
「利人さんにはお前のこと前から話してたんだよ。でも、容姿とかは話してなかったもんだから、勝手に侵入してきた馬鹿だってモモのことを思い込んだんだ」
「ごめんね〜(この子総受けの匂いがするな〜…)」
「いや、おかまいなく(会計受けでもいいかもしれない…)」


二人がリビングのソファに座る。二人して座る様まで格好良いとかなんなんだこの二人…あ、イケメンか。
会計サマがふわっとした髪をゴムで縛り、此方を見やった。


「じこしょーかい」
「へ?」
「俺のことは知ってるでしょ〜?でも俺はキミたちをよく知らないのネ。だから、じこしょーかい」


ああ、なる程。
竜騎と目配せして、どちらが先にするかを決める。五秒の沈黙の後、竜騎の眼力に負けた俺から自己紹介をすることに決定。大抵眼力では負けてしまう(…むしろ勝つことなんてありえないだろう、彼は我がEクラスのヘッドなのだから)。


「えーと…不破桃耶、です。Eクラス所属で図書委員です」
「海原竜騎。Eクラス所属の学級委員をやってる」


ちなみに。
代々Eクラスのヘッドは、自動的に学級委員となる。そうでないと、皆言うことを聞かないからだ。
俺達二人の簡単な自己紹介にうん、とひとつ頷いた会計サマ。形の良い唇が動いた。


「まー知ってるだろうけど、俺の名前は鳳凰寺利人。3のS所属の生徒会会計ね〜。桃耶チャンに竜騎チャン、よろしく〜」
「「…ちゃん付けですか…」」


ズルッと肩が落ちる。…『桃耶チャン』、なんて初めて呼ばれたぞ、俺。どうやら竜騎もちゃん付けされるのは初めてらしく(当たり前である)何ともいえない顔をしている。


「あ、質問してもいい〜?」
「…なんざんしょ、会計サマ」
「名前で呼んでよ〜…桃耶チャンと竜騎チャンて付き合ってるの〜?」
「「「ッッ、ゲッホゲホッッゴホッ?!」」」


俺と竜騎はもちろん、なぜか鶴斗までもが盛大に咳き込む。しばらく動悸息切れが続き、リビングに三人の咳き込む音と爆笑する鳳凰寺先輩の声が響く。


「あはは〜!」
「ちょ、笑い事じゃないんですけど?!」
「何言ってんですか利人さん?!」
「…つか、有り得ないだろ…俺と桃耶は…(不良×凡人…ある意味王道)」
「な〜んだ、つまんないの〜…正直平凡受け略奪愛もアリだと思ったんだけどな…」


ぽつりと零された呟きに、耳がピクリと反応する。…平凡受け?大事なことなので二回言おう、



平 凡 受 け ?




「…あの…鳳凰寺先輩、俺からも質問いいですか?」
「ん〜?なんでしょうか」



「先輩…BLはお好きですか?」



「……あれ、もしかしてバレた?」


…どうやら鳳凰寺先輩は腐男子のようです、隊長。



11,06,20





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