さんにんのゆくえ2

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どうやら、此花が俺にちゅーをブチかましたことにより、此花にベタ惚れーズ(※俺命名)が俺に憎悪の念を抱きつつホイホイやってくるらしい。


「…なるほど、そして俺が抹殺される訳ですね分かります」
「いやいやいや!お前は助けるから!」


小声でギャーワー騒ぐ俺達(むしろ俺だけ)。まったく、少しは相談してくれないと色々面倒なことが疾風怒濤の勢いで巻き起こるというのに。いや、たとえ事前に相談されてもあんまり意味なさげだけどさ!精神的にそっちの方がまだダメージ減少というかなんというか。


「…つーか、俺男とちゅーしたのか…オエ」
「俺は嫌悪感無かったけどな」
「…うん?」
「…ん?あれ、なんで嫌悪感無かったんだ、俺」
「(…おっとまさかの俺&此花恋愛フラグゥゥウ?!)」


そんなフラグへし折るわ!二重の意味で俺が死んじゃうから!
いきなり立ったある意味死亡フラグにカンカンガクガクし始めた俺をよそに、竜騎は此花の胸倉を掴み上げた。


「テメェ…なに考えてやがる」


ドスの利いた声。竜騎がブチ切れ寸前の証拠である。俺は慌ててその此花を掴み上げている手を掴んだ。


「待て待て待て待て!…オイ此花、竜騎なら信頼できるし話すぞ」
「…いいけど…」
「コノハナ?誰だそれ」
「聞いてくれ竜騎、愛斗は…」


できるだけ簡単に事情を説明すると、渋々といったように手を話した竜騎。依然として眉間には深いシワが寄っているが、瞳の奥はキラキラと輝いている。…ああそうだ、竜騎も不良のトップ云々以前に腐男子だったということをすっかり考えていなかった。


「…桃耶、俺は今…新しい可能性にワクテカしています」
「なぜ敬語。…愛斗、大丈夫だよ」
「…また俺無関係の奴を…」
「気にしねーし大丈夫だって!あ、つーか体育祭終わったら詳しく聞かせろよ、愛斗」
「あーっと…それ偽名で本当は此花咲耶…」
「じゃあサクヤだな」


にかりと笑った竜騎。…男前です。






さて。
ちゅーぶちかまし事件(俺命名)の十五分後には。


「愛斗?!そいつとどんな関係?!」
「うるさいですよ桐生。さあ愛斗、僕とあちらへ行きましょう?」
「またテメェかよチビ眼鏡!俺の愛斗から離れろ!」
「…」
「伊原チャン、殺気漏れてるんデスケド」
「……済まない、不破」


生徒会大集合。
久しぶりに出てきた感が否めない&生徒会が全員集まったので、改めて紹介。

上から庶務で風紀委員会副委員長の双子を持つひねくれボーイ。
桐生梓。
副会長であり会長と並び『王子様』と称されるスーパーホワイトの経営者。
白雪王司(しらゆきおうじ)。
抱かれたい男No.1、王道BL小説に出てきそうなオレサマ会長。
皇ノ条帝。
俺の幼なじみ、普段は無口書記でも室内では割と短気な苦労人。
鶴斗。
まさに『王道BL小説の会計』像を地で爆走する隠れ腐男子。
鳳凰寺先輩。
そしてもう一人の庶務であり、俺と鶴斗と鳳凰寺先輩の心の癒し兼生徒会の良心。
斜谷華一(ななやはないち)先輩。
…ちなみに俺と鶴斗は親しみを込めて『ナナやん先輩』と呼んでいる。

これが今期の生徒会オールスターである。…考えてみると何気に会長と副会長以外とはかなり仲良くさせてもらっているんだよな。美人ハスハス。


「モモ、後でじ………っくり、聞かせてもらうぞ」
「…伊原チャン…端から見たらいじめてるようにしか見えないよ〜」


鶴斗をドウドウと諫める鳳凰寺先輩と、無言で肩を優しく叩いてくれたナナやん先輩にキュンキュンしながら、いつの間にか抱きついてきた此花を軽く揺さぶる。


「愛斗ー…、生徒会の方々がそう言ってるし、離れろよ」
「いやだ!俺は桃耶から離れないからな!だって俺たち親友だろ?!」
「(…かわいいなぁ)」
「なっ?!し、親友…?!ふざけるなよ眼鏡!俺の愛斗に何した!」
「愛斗から離れなさいそこのチビ」
「離れろ離れろ!!」


…誰か助けて。



12,06,11





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