僕は君が理解できない

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次の日学校に向かうと。


「はよ、日向」
「おーす、ヒナ!」
「…よす、将」


親友が神永と談笑していた。…馴染むな、オイ。





僕は君が理解できない





「そうカリカリすんなヒナ。ほら、飴あげるから」
「…お前僕を舐めてるな、ええそうだろ!」
「お、飴と舐めてるを掛けましたかー?さっすがーヒ・ナ!」
「…はー…って、あのさ将。なんで神永と馴染んじゃうの。僕の唯一にして絶対の逃げ道が無くなっちゃったじゃんかよ…」
「すまんな」


片手をひらひらとさせて謝る将。正直なところ、謝ろうとする気持ちが微塵も感じられない。それが将なんだけど、今は非常に泣けてくる。なんで僕の唯一にして絶対の砦・上杉将をこの男は喋り相手にしたんだ。こんどは無性に腹が立ってきた。

ここで僕の砦(←超略)将について。
将とは長い長い付き合いで、小学校からの唯一の友人と呼べる存在だ(今可哀想な目で僕を見た奴!これだけは言っておく…大正解だ)。まあ、所詮幼なじみというやつである。人として良く出来た奴の上に、顔立ちもアイドルに負けないくらい良いからモテるはずなのだが、基本的にビン底メガネ着用の為、イマイチその魅力に気づく人間はいない。ちなみに家はラーメン屋。


「なーヒナ、ショウちゃんてかーなーり、いい奴だな!久しぶりに朝から学校顔出そうと思って教室来てみたらお前いなくてさー、帰ろうとしたらショウちゃんがすぐ来るから待っててって言ってくれたんだぜ」
「畜生、将お前なんてことを…」
「困ってるやつはたとえ友の敵でも助けろ、というばーちゃんの遺言に従ったまでだ、悪く思うなよ日向」


チャキリ、とメガネを指先であげて言い放つ将。そんな彼の性格はまじめだから、きっといつも授業に出ていない神永の出席日数を心配して引き留めたんだろう。うーん…良い奴過ぎるぞ将。


「…っはー…」





僕はいったいどうしたらこの神永から逃げることができるんだろうか、な。



11,01,19





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