僕は君が理解できない

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「…神永、」
「ンあ?」


僕の居場所、何で分かったの。

呟くようにそう聞くと、彼は少しだけ俯いたように見えた。





僕は君が理解できない





「他にも聞きたいことはいっぱいなんだよ。僕、何も知らない」
「…ヒナ、」


畳み掛けるように言葉を重ねる。ますます口を閉ざしてゆく神永は、きっとこの今日の出来事の原因も知っているのだろう。僕のいつも働かないカンが、こんな時にだけ働くのは癪だけど、どうやらそれは当たっているらしい。
神永が、決意したように顔を上げて口を開く。


「…ヒナがこーなるのは、ごめん、想像しなかった」
「……」
「とりあえず、一から話す。まずは体育館行って、リョウさん止めねェといけねェからよ。…それからでも、いいか?」
「…う、ん」


僕はまだあまり上手く動かない両足に、力を込めて立ち上がった。



*****



体育館の中は、地獄絵図と化していた。不良の呻き声と時折響く怒号と何かを殴る音が、体育館に反響して何ともいえないBGM。そんな中、我らが生徒会長竜胆僚は、そこに皇帝の如く君臨していた。
神永が彼に声をかけると、彼はギラギラと獣のように光る深緑の瞳をこちらに向ける。その瞬間会長の背後にキラリ、光るもの。
危ない!
そう叫びかけたが、会長は後ろにいた不良に蹴りを繰り出し何事もなかったかの如く僕らの方へと近づいてきた。


「よう。…オヒメサマは、救出できたみてェだな」
「なっ、オッ?!」
「当たり前ですよリョウさん。俺を誰だと思ってンすか?………今回は、マジですいませんでした」
「いいってことよ、俺もコイツ等、そろそろ片付けたかったしな。……で?」


くるりとこちらを向く会長。ニヤリ、と男臭い笑みをたたえたその顔には所々返り血が。恐ろしく似合っているが、恐ろしく恐怖に駆られる。


「湧井…だっけ?」
「は、はい」
「お前のおかげで神永は俺のチームの傘下に下った。…感謝するぜ?」
「は……………え?」
「…ん?あれ、神永教えてねェの?」
「アンタを一刻も早く止める為に話さなかったんですよ。今から話すんだから」


頭にハテナが浮かぶ僕に、神永が語り出した。



11,05,27





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